飲むだけで痩せるはウソ!? 輸入ダイエット薬の危険性
「ダイエット薬だと思って飲み続けたら、シャブ中になった」……一体何を言っているのかわからないが、そのとおりなのである。タイ製ダイエット薬を服用して覚醒剤中毒に酷似した症状に苦しむ人が増えている。6月から施行された新薬事法で脱法ドラッグが一斉規制される裏で、もう一つの恐ろしい事例が野放しになっているのだ。
◆ 「マン汁がシャブ臭い」知らぬ間に生活が破綻
元郵便局員の飯沼智絵さん(仮名・26歳)はダイエット薬にハマり「怒りっぽくなる、空気が読めなくなる、喋る内容と言葉が繫がらなくなる、人の話を聞かなくなる」などという異常行動とともに「悪寒と手足の発汗、奥歯をキツく嚙み合わせる歯ぎしり、薬が効いている間は眠れない」など、覚醒剤中毒者に見られる症状が出て仕事をクビになった。その後デリヘル嬢に転身。金持ち客にはジュースにバイアグラを盛り、「こんなに勃起するのは私だけでしょ」と太客に育てる、と薬による虚言なのか自慢げに語る。だが指名客は「あの嬢、マン汁がシャブ臭いんだよね」と顔をしかめる。
こうした購入者のほとんどは危険性を認識していない。個人輸入代行サイトは日本語対応なので、「通販でサプリを頼んだ」程度の感覚だ。輸入できなかった例はごく稀。税関で発見されても、少量なら没収のみの処分で済むという。規制が甘い理由は、薬事法が定める指定薬物に指定されるまで取り締まることができないからだという。厚生労働省は「健康被害事例が出ればただちに調査し、複数の都道府県で公表している。また、健康被害が発生する恐れのある製品を入手・服用しないよう注意喚起している」とのことだが、徹底的な規制はなされていないようだ。
日本で薬局や医師の処方で出された正規の医薬品なら、もし副作用で健康被害に遭っても「医薬品副作用被害救済制度」で補償を得られるが、個人輸入の医薬品では何の補償も受けられず、輸出業者への責任も問えないのが現状だ。
このような状況のなか、合法ドラッグ販売店は違法成分が混入しないよう、時間と費用をかけて販売前検査を行い、役所へ頻繁に問い合わせするなど対応を行っている。老舗合法ドラッグ販売サイト「粉屋」店長、仲間剛氏は「大半は向精神薬や処方薬がダイエット薬と偽られている。飲むだけで痩せる薬など基本的には存在しません。成分不明なモノを服用なんてもっての外。厚生労働省の注意喚起に目を通してほしい」と語る。
美くしくなりたいという女性の願いにつけ込む危険薬物の魔の手は、どこまで及ぶのか。
― 被害急増![覚醒剤入りダイエット薬]の恐怖【2】 ―
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