“ポスト・ダウンタウン”はやはり“2024年を制した実力派コンビ”か。「松本人志とは違った魅力を持った芸人」
お笑いコンビの千鳥が、2024年の大活躍でテレビの覇権を奪うかもしれない。千鳥は現時点で、『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)、『相席食堂』(朝日放送)、『すぽると!』 (フジテレビ系)など、コンビとして約10本のレギュラー番組に出演。さらに、個人でもそれぞれがレギュラー番組を持ち、テレビで見ない日はないほどの活躍ぶりだ。
現在、お笑い界ではダウンタウン・松本人志が休業中で、どの芸人が「覇権」を奪うのか注目されている。もちろん、松本が訴訟の終結を宣言したことでテレビへ復帰する可能性がある。とはいえ、お笑い業界に大きな節目が訪れようとしているのは間違いのないところ。かつてダウンタウンがお笑いの歴史をひっくり返したように、千鳥もまた新たなスーパースターへの道筋を今年切り開いたように思える。
では、千鳥は何がそんなにすごいのか? 一番に注目すべきはボケである大悟のプレイヤーとしての能力値の高さだ。その凄みを見せたのが、『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)の企画「テストで100点取りたいんじゃ!!」だろう。この企画は、「第62回ギャラクシー賞」における上期の入賞作品に選ばれている。昨今、「ギャラクシー賞」でバラエティ番組が選出されることは珍しくないが、「テストで100点取りたいんじゃ!!」は、かなり異質な企画だ。
「テストで100点取りたいんじゃ!!」は、学生時代に勉強をしてこなかった大悟が、人生初の100点を目指し小学生の算数に挑戦する企画。内容だけ聞くと、「おバカタレント」を笑いものにする安易な企画だが、数式を独自の考えで解こうとする大悟がミラクルを連発することになった。基本的な公式を知らない(覚えていない)大悟は、割り算や分数の計算に「大悟式オリジナル計算法」で挑むことに。大悟は九九の掛け算までは知っていて、自身の知識をフルに使って大きい数字の割り算に挑戦した。「168÷6」を解く際は、「6×9=54」を基にして、54を3回足しそこから168に足りない数字を割り出して「9×3+1=28」と正解を導き出した。
さらに、分数の計算にチャレンジする際も、図解しながら本質を突き詰めようとして、出演者に妙な感動を与え番組は締めくくられた。単なる「おバカタレント」企画を、感動にまで昇華させた大悟の凄みは、何事に対しても実直な姿勢にある。これだけレギュラー番組も多く売れっ子の大悟が、ベタな「おバカタレント」企画に真剣に取り組んだからこそ、ミラクルが起きて「ギャラクシー賞」の入賞に輝くことになった。変に茶化さないでおバカ企画に向き合い、その上で笑いも生み出す荒業は大悟にしかできない芸当だろう。
そんな大悟は、『ヤギと大悟』(テレビ東京系)でヤギと散歩するだけで笑わせる新境地を切り開き、今年4月からは『大悟の芸人領収書』、『開演まで30秒!THEパニックGP』(ともに日本テレビ系)でMCとして番組を仕切る役目も担っている。『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)では、松本の後釜として違った魅力を見せ、番組を盛り上げオールマイティに何でもできるところを証明中だ。能力値の高さで言えば芸人で頭一つ抜けている印象で、松本と比較しても引けをとらないレベル。それどころか、数々の神がかり的な企画・設定や番組を生み出した松本と違い、周りを巻き込んで笑いを生み出す能力に長けている。松本とは違った魅力を持った芸人であり、これまでに無かったアプローチで今後も新たな笑いを生み出していくように思える。
また、当然ながら相方であるノブのツッコミとしての力も凄まじい。番組をまとめる能力が高いのはもちろん、ワードセンスは芸人No.1と言えるだろう。特に『相席食堂』では、つまらない出演者が出た際でも、視聴者が思いも寄らないツッコミで笑いを演出。ロケ番組である『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)での一般人イジりは秀逸で、『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ系)ではツッコミで面白さを何倍にも増幅している。大悟を面白く料理できるのはノブであり、『テレビ千鳥』でも数々の名シーンを生み出す。コンビとして完璧な形を形成しているのが千鳥だと言える。
「テストで100点取りたいんじゃ!!」で見せた大悟の凄み
これまでに無かったアプローチでお笑い界を変えられる
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某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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