仕事

会社を辞めても食べていけるか?

木暮太一氏

木暮太一氏。経済入門作家、経済ジャーナリスト。『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)『今までで一番やさしい経済の教科書』(ダイヤモンド社)など著書多数

 先日、日本きっての大企業と謳われたシャープが、経営不振による給与カットや大幅なリストラを発表し、話題となった。どんな世界的大企業であっても、もはや絶対に安定する会社は存在しない。この時代をいかに生き抜くべきなのか、経済ジャーナリストの木暮太一氏は、「こんな不安定な時代だからこそ、安定を求めないことこそが一番の突破口」だと語る。 「会社に入れば短期的には安定しますが、永続的に発展していく地盤なんてありえません。また、変化のない状態に慣れすぎてしまうと、突然会社をクビになったり会社が潰れて、安定の地盤が崩れたときに、うまく対応できなくなってしまいます」  逆に、安定を求めない人ほど、変化に柔軟なため、リストラなどの非常事態が起こってもすぐに対処できるとのこと。だが、「安定を求めない」生き方は、何かしらの専門性や特技をもった人だけしかできないのでは。 「10年、20年ビジネスマンをやった人なら、なにかしらの能力があるはずです。だからこそ、『いまある環境(会社)がなくなったらどうやって生きていくか』という前提で、自分のなかにある能力をマネタイズする(現金に換える)方法を探すこと。たとえば、営業しかやったことがなくても『営業力セミナー』を主催することはできる。今の時代は、ネットなどで告知も簡単にできますしね」  そして「これだ」と思う能力を見つけたら、抽象的なものではなく、できるだけ「形容詞が2つつけられるくらい」に専門性を高めていくといい。 「要は、どんな分野でもいいから、『自分が他人より勝っていると思える形容詞』を持つことが重要なんです。例えば『私は旅行代理店に勤めています』と言われても、あまりイメージが沸きませんが、『私は、“韓国の”“グルメに強い”旅行代理店に勤めています』と言われたら、ぐっと専門性が高まる。それに単に『旅行会社』と言われるより、印象も残りますし、ニッチなものほど需要も強いはずです」  だが、マネタイズできる能力が見つかっても、急にそれをビジネスにしようとするのは早計。 「突然、会社を辞めて独立する人もいますが、それは失敗の元。ビジネスは小さい規模で始めて、チューニングしながら規模を広げていくのが一番です。自分の会社がまだ安定しているうちに、1000円、2000円程度の小さな規模でいいので、まずは自分の能力をお金に換金するシステム作りをしておく。本業のほかにセーフティネットの副業を確保しておきつつ、もし、そちらが軌道にのりそうだったら、切りかえればいいんですから」  ダイヤの原石は、誰でも持っているはず。あとは、それをいかに磨くかが重要ということだ。週刊SPA!9/25発売号ではこれらの方法論を実践している人々から<「会社を辞めても食べていく技術」を伝授してもらった。興味のある人はぜひ参考にしてほしい。<取材・文/藤村はるな>
週刊SPA!10/2号(9/25発売)

表紙の人/福山雅治

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