津波に対応していない「スーパー堤防」 建設に400年以上、12兆円!?
◆「200年に一度」の洪水のために400年以上、12兆円!?
「(建設に)400年以上、12兆円以上かかる。事業仕分けで廃止となったものが、検討委員会の出した『とりまとめ』では縮小して継続との判断になった。どう考えるのか?」
身内・民主党の大河原雅子議員が蓮舫行政刷新大臣に問いただす。先月末の参院予算委員会での一場面だ。スーパー堤防は「200年に一度の洪水に備える」として、首都圏やその近隣6河川、全長872kmを整備する超大型事業。だが、実施から24年たち、昨年4月までに7000億円もの巨額の税金が投じられてきたのに、工事の進捗率はたったの5.8%。そのため、昨年10月の事業仕分けで「廃止」と判定されたが、今年8月の国交省河川局「高規格堤防の見直しに関する検討会」では計画を縮小しながらもコッソリと「事業継続」となった。建設工事が続く江戸川区で、その問題点を追及してきた稲宮須美氏(江戸川・生活者ネットワーク)は「震災にかこつけての便乗です」と批判する。
「検討会の議事録に『震災を踏まえて』との発言がありました。しかし、スーパー堤防は津波には対応していませんし、広範囲に盛り土してその上に街をつくるという構造なので、むしろ地震に弱い。また、堤防は繋がっていないと意味がありませんが、現在、工事に積極的なのは江戸川区だけで、葛飾区や荒川区などの他の建設予定地では、用地買収さえ行われていません。江戸川区・平井7丁目での、わずか150m、0.01平方キロメートルの延伸工事で82億円もかかりました。どこが『安価』なのでしょうか」(稲宮氏)
来年以降も、スーパー堤防への予算はつくかどうか「検討中であり、(昨年の)仕分けでの評価結果を反映するものと承知している」
(蓮舫刷新相)とのこと。政府として、中止にするのか、継続なのか、方針を明確にするべきだろう。
取材・文/志葉 玲 佐々木奎一 北村土龍
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