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日本製ベトナム原発建設予定地に潜入 

ベトナムのニントゥアン省にある、海が美しい長閑な村の名はビンハイ。集落を抜けたところに、有刺鉄線が張り巡らされた区画がある。ここが、日本の支援で’20年に完成する予定のニントゥアン第二原子力発電所の建設予定地である。 敷地内では波の音と海鳥の鳴き声だけが聞こえてきた。10年後、ここにコンクリートの巨大な建物が建ち、その中でウランがひたすら核分裂を繰り返して蒸気タービンを回すのだ。そんな様を想像すると、不思議な気分になった。 徒歩で集落へ戻ると、外国人が珍しいためか、すれ違う村人たちは皆、笑顔で迎えてくれた。集落の中心にあった完成予定図によると、有刺鉄線に囲まれた敷地の外でも関連施設の建設が予定されており、この集落ごと、工事着工までに立ち退きをしなければいけないということだった。
ベトナム原発

ビンハイで出会った漁師とその子供。「住居は立ち退きとなるが、原発建設後もここでこれまでと同じように漁ができると説明を受けた」と語っていた。果たして彼らの未来は明るいものとなるのだろうか?

住み慣れた土地から去らなければならない村人たち。しかし、彼らの間には意外なほどの「原発歓迎ムード」が広がっていた。海岸近くの牧草地で牛を連れていた初老の女性はこう言った。 「来年、ここから5km離れたところに引っ越すことになっているが、政府が住居を保証してくれているので問題ない。牛は手放すことになるが、息子が原発の建設現場で働くことになっているし、完成後は作業員としてのポストもある。今より生活は楽になるはず」 福島の事故の総括もされぬまま、進められるベトナムへの原発輸出計画。現地で出会った村人たち一人ひとりの未来に、日本人の“責任力”が問われている。 ※10/25発売の週刊SPA!「日本製ベトナム原発建設予定地に潜入」より。 取材・文・撮影/奥窪優木
週刊SPA!11/1号(10/25発売)
表紙の人/芦名 星

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