更新日:2015年06月20日 13:47
デジタル

小学生にまで広がる『Minecraft』人気。その魅力とは?

 世界中で異例の大ヒットを記録し、日本でも『マイクラ』の愛称で親しまれるゲーム『Minecraft』は、スウェーデンのゲームメーカーが開発したサンドボックスゲーム。“サンドボックス=砂場”の名が示す通り、プレイヤーはドットテイストの広大な世界で洞窟を探索したり、モンスターと戦ったり、ブロックを積み重ねて巨大な建造物を作るなど、自由にプレイできる。  ’09年の公開後、口コミで人気が広がり、’14年2月の時点でPC版の登録者数が1億人を突破。PC版のほかにさまざまな家庭用ゲーム機やスマートフォンに移植されており、Xbox 360/Xbox One版が’15年5月に2000万本のセールスを記録するなど、PC版以外も絶大な人気を誇っている。この異例の大ヒットにより、’14年9月に開発会社がMicrosoftに25億ドル(当時のレートで約2680億円)で買収されてニュースになった。  昨今は教材としても注目されており、スウェーデンでは『Minecraft』を必修科目に取り入れようとする学校が登場。他者と協力するゲーム性から、自閉症にも効果があると期待されているほどだ。
Minecraft

【Minecraft】スウェーデンのMojang ABが販売、開発を続ける人気タイトル。日本ではPC版(26.95ドル。6月5日のレートで約3354円)のほか、プレイステーション3、4、Vita版(DL版は各2057円)やXbox One版(2160円)、スマートフォン版(Android版は700円、iOS版は840円)でプレイできる

◆革新的なのは内容だけじゃない!? ゲームメーカーの新たな取り組み  ’09年の公開から約6年が経過したいまもなお、世界中で躍進を続ける『Minecraft』。その魅力を「(1)自由度の高さ」、「(2)アップデートの速さ」、「(3)感動を共有できる」ことだと教えてくれたのは、長年ゲーム業界に携わり、現在はフリーのシナリオライターとして活躍する今井三太郎氏。同作品との付き合いも4年と長く、公式イベントに参加したり、関連書籍の執筆などを行っている。 「もともと自由度の高いゲームでしたが、プログラムをゲームの中で組むことができる“コマンドブロック”が実装され、大げさな表現ではなく、ゲームの中で本当に何でもできるようになりました。これを使って、本作で別のゲームを再現した人もいますよ(笑)」  コマンドブロックのように、新要素がどんどん追加される「アップデートの速さ」も魅力だ。 「売り切り型のゲームですが、スマホなどの課金型のゲームのように半年から1年に一回のペースで新要素が無料で実装されるんです。バージョンが変わると新作ゲームをプレイする感覚で楽しめるので、継続率が非常に高いんです」  自由度が高く、どんどん遊びが追加されていく世界で「感動を共有できる」のも人気のヒミツだ。 「自分たちだけの世界で、巨大な建造物を一緒に作ったり、対戦プレイを楽しんだり……。そうした感動をマルチプレイでダイレクトに共有できるというゲームデザインは、僕が知っている限り、ほかにはなかったと思います」  これら3つの大きな魅力に加えて、「当初からプレイ動画やゲーム実況の公開を、メーカーが公認していたのもヒットの要因でしょう」と今井氏は指摘する。 「いまは、一部のメーカーが特定のタイトルに限り、動画の公開を容認していますが、以前は限りなく黒に近いグレーでした。それがメーカー公認とあって、ゲームの魅力を宣伝するユーザーが次々と現れ、口コミで広がっていったんです。Mojang ABは、開発中の『Minecraft』を公開し、ユーザーの意見を反映して開発するという前衛的な取り組みをしていました。狙っていたかはわかりませんが、宣伝方法も当時としては画期的だったんです」 ◆小学生にまで広がる『マイクラ』人気  では、日本のユーザーは実際にどのようにして『Minecraft』を楽しんでいるのだろうか。4年の歳月をかけて、ゲームの中に某テーマパークと周辺施設を再現したぷんすけ氏に聞いた。 「以前からゲーム実況の流れで当時話題だった『Minecraft』を遊ぶようになったんですが、穴を掘ったり、建物を作ることにハマってしまって。どうせ作るならと、僕の好きな某テーマパークを再現することにしたんです」
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ぷんすけ氏が有志のプレイヤーとともに完成させた某テーマパーク。園内のアトラクションはすべて再現されており、本物のアトラクションのように体験可能。また、周囲のホテルなども再現している

 プロジェクト始動時、少なかった協力者は、『Minecraft』をテーマにした動画を競うイベントで、ぷんすけ氏の動画が優勝したことで急増。園内の作成に人を振り分け切れなくなったため、周辺のホテルやショッピングモールも再現していくことになった。 「写真をもとに、1000部屋以上あるホテルの館内も、一室ずつ再現しています。ショッピングモールのお店もすべて作りました」  メインのテーマパークも、“アトラクションがすべて体験できる”というこだわりようだ。 「日本人だけでなく、海外のユーザーと交流できたのも、『Minecraft』ならではの魅力でしょうね。実は、海外にも某テーマパークを再現するグループがあって、“世界の某テーマパーク再現プロジェクト組合”みたいなものも存在するんです(笑)。海外のユーザーと意見を交換して、とてもいい刺激になりました」  最近は、『コロコロコミック』が定期的に特集を組んだり、『おはスタ』がレギュラーコーナーで取り上げているうえ、プレイしやすいスマホ版やプレイステーション Vita版が登場したことで、小学生のユーザーも急増。長年ゲーム業界に携わり、現在はフリーのシナリオライターとして活躍する今井三太郎氏やぷんすけ氏は、古参のユーザーと交流することで、さらなる盛り上がりを期待していた。  また、このまま小学生のあいだでブームが広まり、親の世代にも認知されるようになれば、教育に取り入れたいと検討する学校が出てくる可能性もあるという。『Minecraft』旋風は、まだまだ続きそうだ。 取材・文/黒田知道 (C)2014 Microsoft Corporation. Minecraft is a trademark of Notch Development AB.
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