48歳の息子はうつ病で働けず、高齢の母が死んだら共倒れ――社会問題化する「親子破産」という闇
それでも週に2、3回は手押し車を使って近所のスーパーに食材の買い出しに向かう美千代さん。そんな光景にも慣れてしまったのか、息子の宏さんが家事に手を出すことはほとんどない。自宅は2階建ての一軒家だが、リビングにパソコンを持ち込んでいる宏さんは一日の大半をこの四畳ほどのスペースで過ごす。花瓶や手作りの雑貨などが並んだ家の中はきちんと整理されているが、それもすべて美千代さんが健在だからこそだ。
「母には申し訳ないと思いつつも、死なれたら僕は間違いなく生活できない。だから自分が先に死にたいと思っています」(宏さん)
そんな息子に対し、本当ならば自立してほしいと願いつつも「それでも一緒に暮らしていることが大事なんです」と、母は語る。
「経済的にもどちらかが欠けたら、今の暮らしさえできなくなりますし、それ以上に生活に張りがなくなって、私は寂しさに絶えられないと思うんです。自分の老後のことより、私に何かあったらあの子が一人で生きていけるのかが心配で……。幸い家のローンは完済しているので、生活保護だけは受けずになんとか家を守りたいです」
親子破産寸前の2人は、今日も依存しあいながら生きている。
同特集では上記のような「親子破産寸前の40代、50代」の実例を多数掲載。また、「親子破産を免れるためにすべきこと」を当事者の証言をもとに徹底調査。決して対岸の火事ではないこの問題を多角的に検証している。<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
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