更新日:2022年07月10日 11:12

自衛隊海外派遣から株価大暴落まですべてはマンガが予言していた!?

PKOの自衛隊海外派遣から株価大暴落まですべてはマンガが予言していた!?  ’80年代に一斉を風靡した『ハイスクール奇面組』(新沢基栄)で、主人公・一堂零が出会った大財閥の息子の名が「三井住友」だった。’01年、本当に旧財閥系の2行が合併して「三井住友」銀行が誕生。同じ年、旧日本債券信用銀行は「あおぞら銀行」に行名変更したが、これは3年前から連載していた『監査役野崎修平』(作・周良貨作、画・能田茂)での主人公の勤務先と同じで、完全に名称を先取りしていた。マンガ家のネーミングの力、畏るべしである。『奇面組』では早稲田慶応というキャラも登場していたが、少子化で大学が生き残りに必死な昨今、この私大合併もありえない話ではない?  山上たつひこが『がきデカ』の前に描いたシリアスなSF『光る風』(’73年)は、米国軍がカンボジアに進撃、政府は国連協力法のもと「国防軍」の海外派兵を行う。その後のPKO法案やテロ特措法成立前後の事情を、ピタリと予見している。業田良家の『ロボット小雪』(’07~’08年)は、株価大暴落から語り始められ、格差と管理が徹底した社会で人間らしさを求める主人公たちの姿が描かれた。  マンガ家たちのビジョンの正確さに驚くと同時に、ネガティブな未来の到来を防ぐのも我々の「今」にかかっていると教えてくれる。 【斎藤宣彦】 ’68年生まれ。マンガ編集者。名作マンガの意外な続編を集めた『こんなマンガがあったのか!』『マンガの昭和史』ほか編著書多数 ― 続発する[フィクションの現実化]を大検証【3】 ―
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