貧困から抜け出せない外国人労働者の2世たち「16歳から夜の店で働くのがフツー、10代で母になるコも」
この地に通って3日目、ようやくこの団地で育った“2世”の若者に話を聞くことができた。
「親父がブラジル人で母が日本人。もう離婚して母はいないんですが、親父と15歳の妹と3人で住んでます。僕と妹は国籍も日本だし、日本にしか住んだことがないです。今20歳で、仕事は高校出てから自動車工場のライン工。以前は親父も近くの工場で働いていたんですけど、目を悪くしてからは知り合いのブラジル料理店で働いています。同世代のハーフでもココから出て行くヤツもいますけど、結構残ってますね。俺と同じように工場で働いてるヤツもいるし、車のディーラーやってるヤツもいるし、クラブのイベント仕切ってるヤツもいる。同い年で子供がいるヤツも少なくない。なんつうか早いんですよ、サイクルが(笑)。まぁ確かにカネはないヤツらばっかですけど……ハーフも純日本人も関係なく、先輩後輩含めみんな仲いいですよ」
もうひとり、この地で育ったフィリピン人の母(父は日本人)をもつ18歳の女性にも話を聞いた。
「私もそうだったけど、高校いかずにバイトしたり、16~17から夜の店で働いてるコは多いかな。でも、それが別にフツーみたいな。夜、子供を同じ団地の親に預けて働いてるコもいるよ」
もうひとつ、貧困から抜け出せない理由がここにある。古くから平塚駅西口にはピンサロが密集するなど、性風俗文化が根づいていることだ。福持氏が続ける。
「外国人労働者の娘たちで、18歳未満の“アンダーキャバクラ”で働くケースもよく聞きます。また、接客業が苦手な女のコが簡単に“ウリ”に手を出すことも。結果として高校に進学せず、10代で母になるコも多いため貧困から抜け出せなくなっているんです」
こうした負のスパイラルは、なにも平塚に限ったことではない。
「神奈川県内だけでも藤沢や大和など、こうした貧困を抱えた外国人集住エリアはいくつかあります。これらの地域にも撮影に行くのですが、どこも貧困と同様に治安の悪化が問題視されています」
ほかにも、静岡県浜松市、群馬県太田市などもこうした問題が顕在化しているという。移民の受け入れを行っていない日本だが、労働人口が減少する日本にとって外国人労働者の需要は今後も増えていくばかりだろう。だが、そんななかで低賃金で働かされ異国の地で貧困に陥る彼ら、その2世、3世たちは、この国の新たな“被害者”といえるのかもしれない……。
【福持英助氏】
カメラマン。’74年、横浜生まれ。カルチャー誌や実話誌を中心に、国内外の若者文化を撮り続ける。インド、ロシアなど海外での撮影経験も豊富
取材・文/浅原 聡 加藤カジカ 撮影/時永大吾 福持英助
― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―
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