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松井大輔は2部に移籍! ポーランドリーグに見る1部から5部までの格差

日本よりもシュートやドリブルへの意識が強い

両チームともに攻撃的なスタイルが印象的だった

 そうこうするうちに気づけばキックオフの時間。11時試合開始だが、ガラガラだった駐車場も埋まり、スタンドには老若男女、幅広い世代の30~40人ほどのサポーターが。入場無料で売り子もいないので、各々ビールを持ち込んでのんびりと観戦している姿は牧歌的だ。グラウンド外に自分で持ち込んだイスを置いて観戦する近所の人も見られた。

5部リーグでもパトカーがサポーターを監視する

 しかし、温かい空気に癒されながら、ふとグラウンドの横を見るとパトカーが……。5部とはいえ、エキサイトしすぎてケンカ騒ぎになることや、発煙筒が焚かれることもあるそうで、毎試合地元警察が警備に来ているのだという。そんなまったり感と緊張感のギャップも、日本ではなかなか味わうことのできないものだ。  試合は5部とはいえ、なかなかハイレベル。筆者は日本の地域リーグも観戦経験があるが、ドリブルで仕掛ける意識やシュート技術は「オクレングフカ」のほうが上だという印象を受けた。守備では軽率なミスが見られたが、ここらへんの意識の違いにも、お国柄が表れているのかもしれない。結果は2対1で地元のムスタングが勝利。夏場とはいえ、ジャケットを着ないと寒いほどの気温だったが、楽しむことができた。

円陣を組むムスタングの選手たち。奥にはクラブハウスの屋根が見える

 試合後、ムスタングのチーム関係者にポーランドのフットボール事情を聞くと、完全なプロは2部リーグからで、3部以下はセミプロやアマチュア選手がほとんど。選手たちはそれぞれ仕事をしながら、週3日練習に参加し、夏はこの日試合が行われたグラウンドを、冬場は極寒・豪雪なので体育館や人工芝のフットサルコートを使っているという。仕事の合間を縫ってプレーしているが、残業文化がほぼ存在しないので、練習時間の確保は問題ないようだ。  無給でプレーする選手たちだが、ビールの差し入れなど、サポーターからの後押しがモチベーションアップに繋がっていることは間違いない。アウェイでの試合では、選手とサポーターが一緒のバスで移動し、道中、早くもサポーターたちは酒を飲み始め、選手たちがウォーミング・アップをしている最中にお昼寝。試合開始とともに目を覚まし、再び飲みながら応援するのだという。  フットボールチームの“強さ”とはなにか? 行政の援助で整備されたインフラ、生活のバランスを崩さずにプレーできる選手、規模は関係なく身近なチームを応援するサポーター……。世界を席巻するメガクラブからは見えづらい、フットボール哲学を感じた。 <取材・文・撮影/林バウツキ泰人>
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