松井大輔は2部に移籍! ポーランドリーグに見る1部から5部までの格差
今シーズンより、元日本代表の松井大輔がポーランド2部リーグの「オドラ・オポーレ」へ移籍したことは、サッカーファンの間でも話題になった。松井は以前もポーランド1部の「レヒア・グダニスク」に所属していたが、馴染みがないという人がほとんどだろう。しかし、昨年のUEFAチャンピオンズ・リーグには名門「レギア・ワルシャワ」が20年ぶりに本選出場、代表チームは現在FIFAランキング世界6位と、実はなかなかの強豪国なのである。
香川真司の元同僚で、現在はバイエルン・ミュンヘンでプレーするロベルト・レヴァンドフスキなど、世界的ビッグネームも生まれているポーランド。現在、1部リーグには日本人選手はいないが、2部には松井を含め、3人の日本人選手がプレーしている。‘14年の『デイリーメール』紙の発表によれば、ポーランドリーグの平均年俸は約2000万円。同調査によればJ1は約2300万円なので、日本よりはやや給料は低めだ。
多くの日本人選手がプレーしているわけではないが、それだけに与える印象は強いのかもしれない。今回の移籍でも地元のニュースサイト「trojmiasto.pl」は「レヒアの元スターが日本からポーランドに復帰」と好意的に取り上げている。「オドラ・オポーレ」のクラブ公式サイトによれば、スタジアムの座席数は3300。J2のスタジアム基準が1万席以上であることを考えると、かなりコンパクトだ。
もちろん、1部には数万人規模のスタジアムを持つクラブも存在する。松井が以前所属していたレヒアのホームスタジアムも4万1620席と大規模。ポーランドでは‘12年にウクライナと共同開催されたEURO (欧州選手権)以降、スタジアムのインフラも整えられ、強豪チームはチャンピオンズ・リーグやヨーロッパ・リーグにも出場している。
欧州サッカーというと煌びやかなトップリーグばかりが注目されるが、それらを支えるのは地元に根ざしたフットボール文化と下部リーグの存在だ。ただでさえ、日本人からすれば謎の多いポーランドリーグ。その最深部は果たしてどうなっているのか探るべく、中部に位置するクヤヴィ=ポモージェ県の古都・トルン郊外で5部リーグの試合に潜入した。
トルンは世界遺産にも登録されている中世都市。地動説を唱えたコペルニクスが生まれた都市として知られる街だ。その中心部から車で走ること約30分、観に行ったのは「オクレングフカ」と呼ばれる5部リーグの開幕戦だ。
対戦カードは地元のチーム、「ムスタング・オスタシェヴォ」対「ヴォヨブニク・ヴァブチュ」。思わず舌を噛んでしまいそうなチーム名、どちらが強いのかも謎だが、はたして楽しめるのだろうか……。
グラウンドに到着すると観客はおろか、選手も誰1人いない。辺りは見渡す限り田んぼが広がっている……。とはいえ、グラウンドは天然芝で、200~300人は入れそうなスタンドもあり、ベンチも屋根がついていて本格的だ。駐車場を挟んでグランドからわずか1分の距離に、質素だがクラブハウスもある。
こうしたインフラにはEUからの助成金が与えられており、郊外での生活を向上させる目的があるとの説明書きがあった。何万人も入る大きなスタジアムだけでなく、こうした草の根レベルでの設備投資が行われているところに、欧州フットボール文化の深みを感じた。
地元ニュースは松井を「スターが復帰」と紹介
1
2
ハッシュタグ