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いま女性が求めているのは“サラリーマンの王子様”だった【トミヤマユキコ】

 2018年5月、『バチェラー・ジャパン』シーズン2の配信がAmazonプライム・ビデオでスタートした。今回は早稲田大学文化構想学部の助教でサブカルチャー関連の講義を担当するトミヤマユキコ氏に、バチェラーの楽しみ方とそこから読みとれる現代のモテについて聞いてきた。

トミヤマユキコ氏

実は女性が男性を“選ばせている”


――トミヤマさんは、バチェラーの大ファンだとお伺いしています。

トミヤマ:はい!めちゃくちゃおもしろいですよね。ただ、最初はあまり良いイメージじゃなかったんです。たくさんの女の人からたった一人を男が選ぶ、なんて設定は前時代的なのではないかと。

 でも、周りの友人たちがこぞって「バチェラー、見た!?超おもしろいよ」と言ってくるわけですよ。私の周りってフェミニズムに関心を寄せている人たちが多いんですが、そういう人たちも褒めるってことは何かあるに違いないと。そこで試しに見てみたところ……まんまとハマってしまいました(笑)。

――どういった部分にハマっていったのでしょうか?

トミヤマ:人数が半数になるまでは視聴者の想像通りで、明らかにアピール下手な子が落ちていくんですが、後半は本当にどうなるかわからない、ほぼ互角と言っていいレベルの女性たちが知力を駆使して戦っていきます。運の要素もけっこうありますね。

 そんな中で、男性が女性を選ぶという構造自体が変化していきます。女性はただ選ばれる立場かと思いきや、実は男性に選ばせているという逆転の状況が起こるんですよね。そこから番組に対する印象がみるみる変わっていきました。

 バチェラーが単なる美女のサクセスシンデレラストーリーではないことに気付くと、おもしろさがどんどん増していきますよ。

サラリーマンの王子様が今の女性の理想?


ハイスペックとはいえサラリーマン。地に足がついていそう

――確かに、人数が絞られていくと、選ばせる的な意味合いも強くなっていくような……!シーズン2はほかにどんなところに注目すべきでしょう?

トミヤマ:今回のポイントはやはり「バチェラーがサラリーマン」ということ(笑)。初代バチェラーの久保さんはイケメンの投資家で、言ってみれば典型的な王子様でした。でも、女性からするとすごすぎて何してるのかよくわからないお金持ちって、雲の上の存在だから現実味がない。

 その点、小柳津さんはサイバーエージェントのサラリーマンなんですよね。どんな結婚生活になるのか、どんな苦労がありそうか。女性にも比較的想像しやすい会社員の王子様、そこがおもしろいと思います。

――もちろんスペックは高いんですが、どこか等身大というか、一緒に生活するイメージがわきますよね。

トミヤマ:日本ではあまりに規格外すぎる男性だと、将来の想像がつかなかったりステージの差を感じてしまったりと、逆に敬遠されてしまうような気がします。小柳津さんは初代バチェラーと比べると人間味が強い男性です。番組でも、バラを渡さなかった女性との別れがつらくて泣いてしまったり……。

 今の日本女性に必要な王子様って、ずっとポーカーフェイスでパーフェクトな“男らしい王子様”ではなく、ちょっと残念なところもある“人間らしい王子様”なんじゃないかと思うんですよ。

――小柳津さんは今の女性が理想とする男性に近いと。

 例えばですけど、最近の少女漫画や恋愛ドラマを見ていると、「男らしくなくてもヘタレでも、ヒロインが好きだと思えばそれでいい」という形の恋愛がみられます。男らしさを重視する人はそれを「女々しい」と言うし、情けないと思ったりするのかもしれないけど、小柳津さんには“男らしく”よりも“人間らしく”を大切にするイメージがあって、それがウケているような気がします。

 彼は成功者であることには間違いないのですが、「俺についてこい!」という亭主関白タイプではない。冒頭から「自分のやりたいことがちゃんとある、自立した女性がいい」と繰り返していますし、ずっとその信条を守り抜いているんです。

 今の時代って結局、夫婦揃って働いていかなきゃいけない方向に進みつつありますよね。だから共感と理解がお互いにできて、カッコつけないで対等に向き合えることが、恋愛や結婚に求められているんじゃないでしょうか。

――前時代的な“男らしさ”が無いことが、今のモテの要素の一つなんでしょうか。

トミヤマ:“男らしい”の意味は、ひと昔前とはずいぶん変わってきていると思います。ただリードするだけではなく、相手が考えていることを分かってくれる、耳を傾けてくれる包容力こそが、今の”男らしさ”の根っこにあると思います。

 女性も自立することが求められる時代です。男性だって、専業主婦で料理ができて、教育ママで……みたいな女性を昔ほどは求めていないですよね。世の流れが大きく変わっている中で、お互いに知恵を絞って、一緒に生き抜ける人が結婚相手として理想的。今回のバチェラーではそれがわかりやすく表現されています。

――まるで人生訓のようです。ちなみに、トミヤマさんの推しメンは?

トミヤマ:私は若さま(若尾綾香)が好きです。気が強くて自分のことしか考えていない、絶対王者。バチェラーをまるでスポーツの試合かのように戦っているんですが、打つとホームラン、三振してもフルスイングみたいな人ってこちらも見ていて楽しいですから。バチェラーはスポ根物語なのかもしれない(笑)。

 ちなみにバチェラーって『アメリカ横断ウルトラクイズ』にも似てますよね。普通の女性が勝ち上がるには、美貌だけでなく運や女のバトルを乗り切る体力も必要。応募の段階からかなりの倍率ですよ。ウルトラクイズって「知力・体力・時の運」を謳っていたんですが、そういう意味ではバチェラーも全く一緒。あと、いろいろな土地を旅しますしね(笑)。恋愛版ウルトラクイズだと思って見るのもオススメです。

バラをめぐる戦いは続く!

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【トミヤマユキコ】
’79年生まれ。早稲田大学文化構想学部助教で少女マンガ研究をメインとしたサブカルチャー関連講義を担当。5月に女子SPA!での連載をまとめた単行本『40歳までにオシャレになりたい!』を上梓

<提供/アマゾン・ジャパン合同会社>





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