スポーツ

甲子園の“グラウンドを守り続ける”男。「神整備」と呼ばれる職人芸

熱戦の舞台を演出する“神整備”。グラウンドキーパー「阪神園芸」の技

金沢健児氏

阪神園芸・甲子園施設部長の金沢健児氏

 豪雨、酷暑……「災害級」と評される今夏の気候に甲子園のグラウンドも翻弄されていた。昨秋のプロ野球クライマックスシリーズで水没したグラウンドを見事復活させ、“神整備”と話題となった甲子園球場のグラウンドキーパー「阪神園芸」の甲子園施設部長・金沢健児氏はその苦労を語る。 「7月の西日本豪雨で3日もグラウンドが水に浸かってしまい、芝生が息ができなくなり状態が非常に悪くなったんです。常に天気とにらめっこの仕事ですが想定外でした」  しかし、大雨のあと土の部分を掘り返すという作業をしたため、内野の黒土部分は良好な状態が保たれ、「水はけが良く、水を撒いてもその水が簡単に乾かない、“水持ちがいい”グラウンド」に。傷んだ芝も猛暑のおかげで回復し、今は絶妙な状態に仕上がったと金沢氏は胸を張る。大会期間中はアルバイトを含む25人が待機し、整備にあたる。30分間ほどの試合間のインターバルには、甲子園マニアにはお馴染みとなっている迅速なトンボがけ、一列での放水など、「職人芸」が観られる。 阪神園芸 「30分と言っても、実は試合前にはノックなどがあるので、整備にかけられる時間は15分弱なんです。普段からチームワークを良くしないと手際良く整備はできません」(金沢氏)  そんな「職人芸」が今、全国の高校に広がろうとしている。阪神園芸のスタッフが全国に出張し、グラウンド整備の「技」を教えているのだ。 「相談されれば、全国どこへでも出向き、グラウンドの作り方から、整備、保全の仕方まで一から教えます。良いグラウンドはケガの防止、技術の向上に欠かせませんからね」 「匠の技」を惜しげもなく伝える、そこには球児への温かい目線がある。 【金沢健児氏】 阪神園芸・甲子園施設部長。’83年にアルバイトとして当時手書きのスコアボードを担当し、20歳で阪神園芸に入る。現在、勤続31年目 取材・文/柳川悠二 キビタキビオ 遠藤修哉・林 泰人(本誌) 撮影/渡辺秀之 ― [灼熱の甲子園]観戦のツボ ―
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