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戦力外通告の元プロ野球選手・木村昇吾が「無収入でもクリケットをやり続ける」理由

豪州で感じた世界の壁

――クリケットは野球の起源とも言われていますが、すんなりアジャストできましたか? 木村:たしかに似ているところはあります。ボールの大きさはほぼ一緒ですし、投げて、打って、走ってという基本的な部分は変わりません。ですが、キーパー以外はグラブが使えなかったり、ストライクゾーンが広かったりと違いもある。球が硬くて素手だと痛いから、グローブくれって思いますもん(笑)。そんななかで、一番苦労したのはバッティングですね。とにかく打ちづらい。ほぼワンバウンド投球なので、野球だとキャッチャーが逸らすようなワンバンの変化球を打てと言われているようなものです。その代わり、野球は前にしか打てませんが、クリケットは後ろにも打てる。野球で培った技術はもちろん通用しますが、それだけではダメだと痛感しました。 ――「俺は元プロ野球選手だぞ!」という歯がゆさはありましたか? 木村:プライドうんぬんは、自分が結果を出して周囲が判断するものですから、関係ありません。むしろ、初めて挑戦する競技だからこそ、「やったろやんけ」と新鮮な気持ちを取り戻すことができています。 ※9/11発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【木村昇吾】 ’80年、大阪府生まれ。’02年、横浜に入団。’07年、広島にトレードされると’11年には自己最多の106試合に出場。’15年オフにFA権行使も移籍先が難航し西武にテスト生で入団。’17年限りでプロ野球からクリケットに転身。’18年、クリケット男子日本代表に選出 取材・文/小島克典 宮下浩純(本誌) 撮影/高橋慶佑
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週刊SPA!9/18・25合併号(9/11発売)

表紙の人/中条あやみ

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