『△□○』でなんと読む? (珍)社名の謎
―[(珍)社名の謎を追う!]―
世の中には「えっ、それって会社名?」と思わず目を疑ったり、妙な誤解を受けそうな怪しい響きの社名が結構ある。それなりに考えて命名しただろうに、なぜそんな名前に!? そんな気になる名前の会社に、社名の由来と、その名前ゆえのエピソードを聞いてみた!
【本気でつけたの?編】
社名:△□○
建築資材の製造・販売・施工
「『△□○』でミヨマルと読みます。でもまあ、好きなように読んでください」と豪快に笑う、創業者で会長の福田剛氏。建築資材、なかでもパーテーションが主力商品の株式会社だが、なんでまた、この珍妙な社名を?
「どんな社名にするか悩んでいるとき、ふと窓から外を見たんです。『あの屋根は三角だ』『窓は四角だな』『そういえば人の顔は丸だ』と、世の中は△□○で構成されていることに気がついた。ある種の達観というか、宇宙の真理を感じたわけ」って、実は深い意味があったのね。さらに、並び順にもこだわりが。
「△から□へと辺が増えていき、最後は○に至る、と。若い頃は尖ったところもあるけど、年を重ねて安定感が出てきて、最後は人間的に丸くなる……という人生訓でもあるんですよ」
読み方にこだわる必要はないという持論どおり、名刺などにフリガナは一切添えないとか。
「△□○は読む社名じゃなく、見る社名。一種のアイコンとして、一目で『あの会社だな』とわかればいい。ただ、法務局は理解してくれず、△□○じゃ受理してくれなかった。で、仕方なくミヨマルで法人登記しました。でも、それ以外は取引先も金融機関も△□○で受け付けてくれています。ウチの社名は言語や年令に関係なく、誰でも認識できるから、グローバルな時代にピッタリでしょ」って、確かに一度見たら忘れないけどね。
社名:している
人材開発・教育研修
教育研修関係の業務が多いことから、「何かを実践”している”ことを習慣にしよう」という意味合いを込めて名づけられたそうだが、いろいろと不都合もあるようで。
「どういう業種なのか、そもそもこれが会社名なのかとよく尋ねられます。自己紹介では『しているの徳井です』と名乗るわけですが、先方からはよく『え、何を?』と聞き返されますし(笑)。電話では相手に『シテール』とカタカナ社名に間違えられることもしばしば。お店で領収書をもらうときは口頭で伝えても店員さんが”は?”って顔をするので、必ず名刺を出さないとダメですしね。それと、ネットで検索しても『~をしている株式会社○○』のように別会社もヒットしてしまうのも若干悩ましい」(代表取締役・徳井直人氏)
この手のちっちゃなデメリットは数知れず。
「でも、我々のような発展途上企業が仮に『日本教育研修社』のような無難な社名だったらまったく目立ちませんが、『している』ならどんな大企業の名が連なる中に交じっても、埋もれることはないですからね。それに名刺交換では必ず社名の話題になるのでそこから会話を広げられますし、電話や領収書の話もネタとして話せば取引先へのツカミはバッチリ(笑)」
ちなみに、社員の評判もいいらしい。この逆転の発想こそ、不況を乗り切るカギなのかも!?
社名:愛があれば大丈夫
デジタルコンテンツ制作
取材を申し込んだら、「3~4年ごとにこの手の取材が来るんですよねぇ」と辟易のご様子。それでもお願いすると、「特に由来もないんです。社名の候補を挙げてたときに、誰かがふと言ったのを『それでいいんじゃない』と決めた程度で。あと、当時は登記の際に類似社名に対して厳しかったので、この名前ならまずないだろうと」。
が、珍しすぎて本業とは無関係の取材が来るわ、冷やかしで電話してくる輩がいるわ、「社名からいかがわしいところと思われるのか、取引先の担当者も
『変なところから電話がきた』みたいに言われるらしい」とまで。そして、最後に「(社名に)愛着は全然ないです。ただ今さら変えられませんし」とキッパリ。社名には愛はなかったのね……。
社名:ありがとうございます
不動産業
不動産業を始める際、社長が出席したあるセミナーで「『ありがとうございます』『もったいない』『おかげさまで』の3つの言葉は大事」との話を聞き、その中で一番言いやすく、わかりやすい「ありがとうございます」を社名に。
取引先や客には覚えやすい、感じがいい名前と評判は上々。社員からも同様の意見が多いが、なかには「『ありがとうございます株式会社○○(名前)です』と言うと、自分の名前を社名だと思われてしまう」なんて声も。確かにややこしいかもね。とはいえ、社長いわく「社員は日常生活でも『ありがとうございます』という感謝の言葉がスッと出るようになった」とは、ちょっといい話だ。まあ、何より社長が社名を決めるときに「もったいない」をチョイスしなかったことが幸いでしたな。
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