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喫煙所が完備されたラグビーW杯、東京五輪では成功の糧とできるか?

世界中から観戦客が押し寄せる競技場

 南アフリカの優勝で幕を閉じたラグビーワールドカップ日本大会(以下、ラグビーW杯)。およそ1ヶ月半の間、日本各地で熱戦が繰り広げられた。ワールドラグビーの報告によれば、各競技場の座席の販売率は99%、計184万枚のチケットが売れたという。

ラグビーW杯が開催された静岡・エコバスタジアム

 自国開催の世界大会は大成功のうちに終わったといっても過言ではないが、こうなると次に目を向けるべきは、来年開催される2020年東京オリンピック、パラリンピック(以下、東京五輪)の成否。近頃ではマラソン、競歩の札幌移転が話題だが、世界中から観戦客が集まってくる以上、競技場の整備がどれほど進んでいるかは最重要ポイントだ。  一つのポイントに焦点を絞るのであれば、競技場の喫煙所問題があげられる。  大会組織委員会は「たばこのない五輪」を掲げ、競技会場の敷地内を全面禁煙にすると発表している。近年の夏季五輪開催国では、会場の屋内禁煙が進んでいることがその論拠ではあるが、諸外国とは違い、東京都内は、各自治体ごとに違いはあるものの、屋外での路上喫煙防止区域が多く指定されていることから、競技場はもとより、競技場の外でもたばこが吸えず、隠れてたばこを吸う“野良喫煙”が増えることが懸念されている。  そうした事情もあり、先のラグビーW杯では各地の競技場内に喫煙所を設置し、野良喫煙によるポイ捨て等の被害防止に務めた。  そこで取材班は、10月9日にスコットランド対ロシア戦が行われた静岡・エコバスタジアムの喫煙所を視察。東京五輪の全面禁煙について広く声を集めてきた。

全面禁煙にすることを不安視…

諸外国の観戦客にとって喫煙所の存在はありがたかったらしい

スコットランド人の30代男性2人(エディンバラ在住) 「僕らの国では屋外での喫煙がメインだけど、このスタジアム(エコパ)は外に喫煙スペースがあって、開放的で素晴らしいよ。通行人の迷惑にならないように分煙できている。東京五輪では競技場内に喫煙所が設置されない? それなら吸いたい人は外に行ってたばこを吸うだろうね」 ロシア人の30代男性(ポーランド・ワルシャワ在住) 「日本は喫煙者が少ないように感じる。ロシアの喫煙人口はすごいよ…でも規制が厳しくて吸えるところが少ないから、日本はまだマシだね。このスタジアムの喫煙所は少し窮屈だけど、喫煙所があるだけありがたいね。東京五輪では全面禁煙になるって? 俺は構わず吸うね!ほかのロシア人もそうだと思うよ」 日本人の40代女性(浜松在住) 「全面禁煙は厳しすぎる。喫煙者は数多くいるので、路上喫煙やポイ捨ては必ず発生すると思う」  総じて、全面禁煙による野良喫煙を不安視する声が多く見られた。  東京五輪でメインの競技会場となる、新国立競技場を擁する新宿区の環境清掃部の担当者によると「日本語、英語、中国語、韓国語の4か国版の路上喫煙禁止ポスターやステッカーを用意して、新宿の喫煙ルールの啓発を図っているところです。しかしながら、訪日する外国人の方々は喫煙ルールの異なる国から訪れる方が大半であり、区内の路上で喫煙できないという事情を知って来日する方はほとんどいないというのが現状です。ポスター等だけでは、新宿の喫煙ルールを浸透させることは困難であり、路上喫煙禁止キャンペーンなど、区民の方々と協働して周知を図っていくことに併せて、喫煙所の利用を促すために、わかりやすい喫煙所のあり方を検討していくことが必要であると考えています」と回答している。十分な数の喫煙所が設置できないための苦肉の策ともいえるが、ポスターやステッカーの啓発が、喫煙ルールの違う諸外国の観光客に通じるという保障はない。

休憩時間になると大勢の人が集まり、用意された枠にはおさまらない。が、喫煙所があることで喫煙場所が明確となり、吸い殻のポイ捨てもなかった

「たばこを吸う姿を見るだけで嫌悪感を催す方は別として、この会場のように、きっちり分煙してくれたほうがありがたい。そこらへんで吸う人が増えたら嫌ですね」(非喫煙者の40代女性・子連れ)という声もあるように、視察したエコバスタジアムでは、喫煙所を明確に設けることで、喫煙者と非喫煙者がうまく共存していると感じた。喫煙者の排除に固執するのではなく、広い視野での対策が求められる。〈取材・文・撮影/日刊SPA!取材班〉
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