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コロナ特需で売上額が3億増のせっけん会社。大っぴらには喜べない…

臨時ボーナスの現物支給。単身者には食費負担も

iphone「提携会社から来てもらっている社員さんには、『頑張ってくれているから』と全員にiPhone SEが配られました。もちろん新型のですよ。定価で買っても6万円くらいするでしょ? 使いたい人はそのまま使えるし、要らない人は売ればお金になる。税務面でもその方がよかったんでしょう」  この施策は受け取った社員に好評だったそうだ。自社の社員には今期のボーナス増額が約束されている。会社が儲かれば自分たちの給料も上がる、と激務であっても社員のモチベーションは高い。 「僕みたいな単身赴任組や独身の人は、自炊する暇がなくて外食やコンビニばかりになりがちです。この数か月で、僕も含めて『食費が大変』という人も多い。そういう人のために、食費としてクオカードが配られたり、社長が勤務終わりにご飯を奢ってくれたりしています。若い人は会社の飲み会を嫌うけど、僕くらいの年齢だと喜んで行きますね」  社内の様子は順風満帆であっても、それを外では口には出せないという。 「コロナで儲かっているなんて言えば、苦労している人たちに何て言われるか分からない。大っぴらには喜べないし話題にできないですね。家族にも『周りにはあまり言わないように』と注意しています。僕の仕事を知っている人に何か聞かれたときは、お金周りの話は避けて『休みなくて大変なんだよ~。あ、よかったらコレ使って』と会社のせっけんや消毒スプレーを配っています。宣伝にもなるし、喜んでもらえるので」  影があれば光もある。自粛警察・マスク警察に続き、「コロナ勝ち組叩き」の風潮も強まっているが、勝ち組には勝ち組なりの苦労があるようだ。<取材・文/倉本菜生>
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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