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サッカー日本代表にもハーフ化の波。U-19では6人が選出

日本代表にも迫るサッカー国際化の波

U19合宿があったJFA夢フィールドの外観

U-19合宿があったJFA夢フィールドの外観

 ついにサッカー日本代表にも国際化の波が迫っているかもしれない。  代表格と言えるのが、幼少期からスペインの名門バルセロナの下部組織で育ち、A代表でも地位を確立しつつあるMF久保建英(19=ビジャレアル)。両親ともに日本人だが、スペイン語も堪能で、その堂々としたプレースタイルや取材時などの受け答えは異彩を放つ。そんな久保を筆頭に、彼と同世代となるU-19(19歳以下)日本代表の陣容も実に興味深いものとなっている。  同代表は9月14日から3日間、そして10月4日からも4日間の日程で千葉県内にあるJFA夢フィールドで強化合宿を行った。2021年にインドネシアで開催予定のU-20W杯出場を目指すチームだが、招集リストを見て目を引いたのは、ハーフ選手の多さだ。9月の合宿では全29選手中、約5分の1となる6人、10月も全26選手中5人がハーフ選手だった。  顔ぶれはGK鈴木彩艶(18=浦和レッズユース)、GK野澤大志ブランドン(17=FC東京)、DFモヨマルコム強志(19=法政大)、DFバングーナガンデ佳史扶(19=FC東京)、MF藤田譲瑠チマ(18=東京ヴェルディ)、FW櫻川ソロモン(19=ジェフユナイテッド千葉)。GKからFWまでバランスよく招集されていた。  この6選手のうち、鈴木とバングーナガンデはガーナ、藤田と櫻川はナイジェリアと、アフリカ系ハーフが実に4人。野澤は米国、モヨマルコムは英国と欧米系ハーフも2人となった。

元代表内田篤人がロールモデルコーチとして急遽参加

 同代表合宿は8月にも行われる予定だったが、初日の検査で新型コロナウイルス陽性者が出て中止に。今回が7月以来2度目の活動となることに加え、8月に現役を引退したばかりの元日本代表DF内田篤人(32)がロールモデルコーチとして急きょ参加することに。当然、会場には多くの報道陣も集まった。 内田コーチと選手 練習ではドイツの名門シャルケで欧州チャンピオンズリーグにも出場するなど海外クラブで長く経験を積んだ内田コーチが、同じサイドバックを主戦場とするバングーナガンデ佳史扶や櫻川ソロモンらに積極的に話しかける場面もあった。彼らにとっても大きな刺激を受けた合宿となっただろう。  そして、この世代の強みはハーフ選手以外の人材も豊富なこと。9月の合宿には、すでにJ1クラブで多くの出場機会を得ているDF成瀬竣平(19=名古屋)、MF荒木遼太郎(18=鹿島)、FW斉藤光毅(19=横浜FC)ら将来性豊かなタレントたちも名を連ね、印象的なプレーを披露していた。久保建英ら海外組にもタレントは充実しており、父がナイジェリア人のGK小久保玲央ブライアン(19=ベンフィカ)、FW若月大和(18=シオンFC)らがいる。少し下の世代に目を向けると、世界的強豪レアル・マドリードの下部組織にはMF中井卓大(16)もいる。彼もまた欧州のビッグクラブで最先端の教えを学びながら、着実にカテゴリー昇格を続けている楽しみな逸材だ。
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2018年フランス代表は15人がアフリカルーツ
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サッカーを中心に取材する30代前半のスポーツライター。コロナ禍以前は海外にも積極的に取材に赴く。マイナースポーツにも明るい。

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