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サッカー日本代表にもハーフ化の波。U-19では6人が選出

欧州強豪国は他国にルーツを持つ選手が豊富

練習風景 久保らを筆頭に若い年齢から海外で経験を積んだ選手と、日本人離れした身体能力などを強みとするハーフ選手の組み合わせ。これは今までの日本代表になかった要素であり、代表強化の面でも新たな時代の流れと言える。世界に目を向けると、直近の2018年ロシアW杯で優勝したフランスは代表メンバー23人中、半数以上の15人をアフリカにルーツを持つ選手で占めた。  それ以外でもFWアントワーヌ・グリーズマンはポルトガルやドイツ、FWオリビエ・ジルーはイタリアにルーツを持っていた。歴史的な背景も影響しているとはいえ、世界のサッカー界ではラグビーのように他国にルーツを持つ選手が代表選手として活躍する例が珍しくないのである。  かつてのサッカー日本代表では90年代にW杯初出場を目指してFWラモス瑠偉やロペスワグナーらが活躍。その後も2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯でMF三都主アレサンドロ、2010年W杯ではDF田中マルクス闘莉王と、ブラジルから帰化した選手が主力としてチームを支えてきた。2014年ブラジル大会、2018年ロシアW杯ではドイツ人ハーフのDF酒井高徳が出場。  これまでW杯に日本代表として出場した帰化選手やハーフ選手が各大会1人ずつにとどまっているところを見ても、U-19日本代表などから感じられるハーフ選手の多さは相当なものだと言える。しかも彼らの多くはハーフとはいえ日本育ち。言語面での心配はなく、身体能力の高さに加え、勤勉で献身的な日本人のメンタリティーを併せ持つ利点は大きいだろう。  選手たちは18歳でレアル・マドリードと契約した久保建英の存在をかなり意識しており、「彼に負けられない」と意気込む選手は多い。こうした競争意識の高さも良い兆候だ。今のU-19日本代表は、次の2022年カタールW杯を20~21歳で迎える世代。このチームから何人かの選手がその舞台に立つ可能性も低くはないだろう。  10月のA代表の親善試合は海外クラブでプレーする選手のみの招集となった。それだけでも隔世の感があるが、このままのペースでいけば、いつしかA代表メンバーの大部分がハーフ選手で埋まる日もそう遠くはないかもしれない。  U-19日本代表がまず目指すのは3大会連続となるU-20W杯出場。今年10月に行われる予定だった同大会出場権をかけた「AFC U-19アジア選手権」は新型コロナウイルスの影響で21年に延期された。彼らはサッカー関係者に「新黄金世代」とも称される期待の世代。来年にあらためて迎えるアジア予選を勝ち抜き、未来を担う若武者たちが世界の舞台で躍進することを願いたい。 文/福沢 隼
サッカーを中心に取材する30代前半のスポーツライター。コロナ禍以前は海外にも積極的に取材に赴く。マイナースポーツにも明るい。
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