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会社員の「闇営業」、コロナ禍でも“友人・知人との食事”ならOKの屁理屈

取引先との会食はNGでも友人・知人とならOKという屁理屈

居酒屋 そうした現場では「闇接待」も当然、繰り広げられることになる。 「大手企業のほとんどが、コロナ感染対策として、大人数での会食を控えるように通達を出しています。それならば、少人数で個室ならどうでしょうと言えば、乗ってくる人はいますけどね」  こう話すのは、都内のイベント会社勤務・立花勇作さん(仮名・50代)。主に大手企業から依頼を受けて仕事を行っていたが、コロナ禍がきっかけで営業機会が激減。仕事も例年の半分程度に落ち込んだという。  そんな時、社長がやってきて営業担当に対して次のように言い放ったのだという。 「営業がダメというのなら、知人同士の食事で、と考えればいいのだと。取引先の人間は友達や先輩と考えれば、変な規則に縛られないで済み、遊びが営業活動になる、そんな屁理屈を言い出しました。要するに、会食禁止令の出ている会社の客でも、知人だという名目で呼び出し、接待攻勢をかけろ、ということです。我が社はブラック、社畜精神溢れる社員が多く、社長の鶴の一声を柔軟に察し、翌日から営業先の接待に奮闘しています」(立花さん)

「いち早く動いたものが得をする」

 こちらでもやはり「もうすぐコロナ禍も終わりだ」という期待感が、多くの社員を「闇接待」に走らせているようだが、感染への危惧を抱く人間はいないのか。 「いち早く動いたものが得をするでしょうから、営業社員は我先に、って感じです。緊急事態宣言中、深夜まで営業しているお店はほとんどありませんが、懇意の店に頭を下げて、絶対に接待客を連れてくるからと開けてもらっているほど。感染は怖いですが、出遅れて負けるよりはマシですから」(同)  せっかく終わりが見えかけてきたところでの「気の緩み」なのかもしれないが、当の本人たちにとって見れば、気を緩めるどころか、鼻息荒く、兜の緒を締め直しているような心境、ということか。  コロナ不況で会社が潰れては元も子もないという気持ちは痛いほどわかるが、この身勝手が、新たな感染拡大の原因にならぬよう祈ることしかできない。<取材・文/森原ドンタコス>
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