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「1日も早く摂取したい」自治体のワクチン便宜問題、混乱の序章か

 全国にドラッグストアを展開する愛知県内の企業「スギホールディングス」の社員からの要請を受け、自治体の担当者が「コロナワクチン接種」の便宜を図ろうとしていた問題が明らかとなった。そしてさらに、茨城県内、兵庫県内のそれぞれの町長や関係者らが、ワクチン接種の要件を満たさないまま「優先的」にワクチンを接種していたという事実まで飛び出し、波紋が拡がっている。  これは、今まさに全国的に発生しようとしている「コロナ狂想曲」とも言える様相を象徴するような「事件」ではないのか——。

ドラッグストアに訪れる「ワクチン的なもの」がほしい客

ドラッグストア

※写真はイメージです(以下同)

「お年寄りだけでなく、中年の方までもスマホ片手に『ワクチン的なものはないか』とたずねて来られます。そんなもの、ドラッグストアで販売しているわけがないのですが、みなさん『ネットで見た』と。ワクチンは栄養剤とは違うんです、と説明するんですが……」  医薬品の一部の販売をすることができる登録販売者の資格を持つ濱田寛文さん(仮名・40代)は、東京都内のドラッグストア勤務。昨年のコロナ禍初期には、マスクや消毒剤の品薄により、店に殺到する客の対応に忙殺されたが、最近はもっぱら「ワクチン」だ。 「SNSやネット上に、“ワクチンと同等の効果がある”などという健康食品の情報がたくさん出ているみたいなんです。ワクチンを待っているが、我慢できないということでしょうか。  それに類似した健康食品はないか、という問い合わせも増えていますが、『ない』と答えるとなぜか怒られる。『ネットに書いてあるのにどうしてないのか』『隠していないのか』と詰め寄られたこともあります」(濱田さん、以下同)  消費者庁は現在、新型コロナウイルスの予防効果を標ぼうする健康食品やマイナスイオン発生器、マットレスなどにかんして注意(※1)を呼びかけている。  また、「金銭を支払えば優先的にワクチンが受けられる」などと言い、金銭や個人情報を騙し取ろうとする詐欺にも警鐘(※2)を鳴らしているが……。 (※1)令和3年2月19日・公表資料より (※2)令和3年4月30日・公表資料より

ワクチン摂取を待ち望む人たちが混乱

 先進諸外国などを中心に接種が進んでいるというワクチンだが、国内で聞こえてくるのはトラブル続きで一向に改善されないワクチン接種予約サイトの不具合や、問い合わせ窓口に電話が繋がらないなどのネガティブな情報ばかり。  それは、摂取を待ち望む人たちを焦らせるばかりではなく、一部の人々がこうした怪しい健康食品に興味を持ったり、冒頭のように「自分だけは」と無茶な要求を突きつける人々を生み出しているのだ。 「予約がないと摂取できないと何度も説明をしたのですが、理解していただけず。結局、警察を呼んでお帰りいただけましたが……」  憔悴しきった様子で取材に答えてくれたのは、関東のとある自治体の女性職員(40代)。ワクチン接種が始まった一部自治体の摂取会場に、事前の予約が必須だと知らない高齢者が訪れた、などというニュースも記憶に新しいが、女性職員の元にやってきたのも、事前予約をしていない高齢男性だった。
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“ズルして先行摂取している”と思われている
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