恋愛・結婚

マッチングアプリに潜む罠。会いに行ってみたら怪しい勧誘だった

 コロナ禍で飲み会や会食などがほとんど開催できない状態が続いている。そうなると、必然的に減ってしまうのが「男女の出会い」。  若者たちの「出会いたい」という欲求も日毎に増しているはず。だが、そんな男女を狙い撃ちするような輩も存在する。そして、彼らのテクニックが日々進化していることを知っておかなければ、痛い目をみる可能性もある。

マッチングアプリで知り合った女性に会いに行ってみたら

アプリ

写真はイメージです(以下同)

「今となってはバカだったなって。なぜ騙されたのか、それは欲望が暴走したとしか説明できません」  関西地方在住の会社員・野田俊太郎さん(仮名・30代)は一昨年、結婚を前提に長年付き合っていた彼女と別れ、シングルライフを満喫していた。  同棲もして、ほとんど結婚生活と変わらない状態から晴れて「解放された」と思ったのも束の間、コロナ禍で在宅勤務が続くなど、外部の人との接触機会が減少すると、急に人恋しくなったのだ。 「知人がマッチングアプリを使っているのは知っていたので、僕も使ってみようと気軽な気持ちで始めたんです。恋人じゃなくても、ただ話せるだけの異性でもいいなって」(野田さん、以下同)  マッチングアプリを始めてから数日が経ったころ、野田さんの写真に「いいね」の反応をくれた女性の写真に目が留まる。年齢は野田さんより少し下だが、会社を経営しているというモデルのような美しい女性・A子。  やりとりもすぐに始まり、コロナ禍でのお互いの苦労話などで盛り上がった。野田さんが特に惹かれたのは、A子がバリバリのビジネスマンで、今まで出会ったことがないほど行動的な女性ということ。 「経済のこととか株のこととか、私が知らないことを知っている。男性が女性をリードして当たり前、という価値観でしたが、ぐいぐい引っ張ってくれる女性もいいなと思いました」  しかし、何度やりとりをしても会うことはおろか、電話での会話もNG。昼は仕事が忙しい、家族と同居しており、夜の電話は無理……と、都合よくかわされているような気もしたが、ついにその機会がやってきた。 「実は、株や投資のことを勉強しない? と誘われて、話を聞いてみることにしたんです。とにかく会いたくて、下心がなかったといえば嘘になります」  前置きしておくと、野田さんは決して、さまざまな事情に疎い「情報弱者」ではない。有名私大を卒業後、有名企業に勤めるエリート社員で、マッチングアプリを使った詐欺事件、美人局事件などが起きていることも知っていた。  疑わしいという気持ちは常に持っていたが、A子の写真を見て下心が働いたせいか、警戒心は次第に薄れていったのだ。

彼女の姿はそこにはなく…

 結局、呼び出された飲食店に赴いたものの、A子の姿はそこにはなく、代わりに人の良さそうなサラリーマン風の男が野田さんを待っていた。 「A子さんは急に来れなくなったが、『A子も投資している仮想通貨に興味はないか?』と、いきなり勧誘が始まったんですよ。騙された、と思いつつも、どこかでA子が来てくれるのではないかという気持ちも捨てきれず、最後まで話を聞きました。結論ですが、やはりマッチングアプリを使ってカモを見つける詐欺だった、と判断しました」  サラリーマン風の男は、説明しながらどんどん興奮していき、野田さんに投資するよう決断を迫ったが、野田さんは断固拒否。  すると、男は急に手のひらを返したように「あっそ、時間の無駄でした」と飲んでいたコーヒー代も支払わずに席を立った。A子とは、その日を境に全く連絡も取れなくなってしまったという。
次のページ
実在する女性だと信じ込んでいた
1
2
おすすめ記事