しばらくして大きな問題もなくEさんの教育が進んでいたと思っていた頃、突然、西川さんは上司Dさんに呼び出されます。すでに怒っている様子のDさんでしたが、西川さんには怒られるような心当たりが全くありませんでした。 「呼び出されて行ったら突然、『Eの教育はどうなっている』と怒られました。意味がわからず詳細を聞くと、LINEでの言葉遣いがなっていないと言うんです。LINEの管理までできないよ……と思いつつも、状況を確認するためにEくんにDさんとのLINEのスクショを送ってもらいました」 　その内容を見てみると、やはりDさんからはいつものように自慢話など対応に困る内容が送られていました。しかし、他の社員なら無理に話に付き合うところ、Eさんは「それ古いっすね！」「今そんなの犯罪っすよ！」などスパッと切るような返事ばかりしていたのです。 　それを見て思わず笑ってしまった西川さん。そしてその瞬間何かが吹っ切れ、Dさんについて他の上司に相談することにしたのです。 「今までみんなが我慢してDさんとやり取りしていたのがバカバカしく感じてしまって、我慢する必要ないんじゃないかなって思ったんです。それにこの先、Eくんみたいにはっきりと言える子ばかりが入ってくるわけではないですし、そういう子が困らないためにも対処が必要だと感じました」 　西川さんはEさん以外の社員からもDさんとのLINEのスクショを集め、上司に提出しました。それを見た上司はDさんのLINEが迷惑行為だと判断してくれ、すぐに厳重注意と部下へのLINE禁止を命じてくれたのです。 「僕が訴えたことはすぐバレたので、その後、Dさんから恨み節炸裂なLINEが来ましたが、それも上司に見せると言ったらおとなしくなりました。それ以降LINEのストレスはなくなって、僕も他の社員たちもEくんをより可愛がるようになりましたね」 　Eさんは感謝されても「そうなんすか？」とあっけらかんとした反応だったそうですが、多くの社員の心を救ってくれたのは間違いなさそうです。 ＜TEXT／つる＞