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『物語なき、この世界。』三浦大輔の新作舞台は「世界の矛盾点にツッコみ、こねくり回したコメディ」

果たしてどんな“答え”が待っているのか?

三浦大輔

三浦大輔氏

 自己否定から高みを目指す。その冒険の果ての先々の活動が少々心配だが。 「いや、本作を経たあとはきっと逆に潔く物語を創れるようになるはず。物語の否定ではなく、『物語についてどれだけ探求できるか』という一種の思考実験ですから。  無論、この舞台自体がひとつの“物語”だともわかっていて、だから否定に否定を重ね、苦悩し悶絶しながら台本を完成させました。とはいえ、硬派な社会派などではなく、世界の矛盾点にツッコみ、こねくり回したコメディなんです。  ラストは曖昧に雰囲気で逃げてしまってはダメだなと強く思っていますね。大風呂敷を広げた責任を取ると言いますか、答えらしきものはちゃんと提示します」  誰もが「自分こそ主人公」という物語を前提に生きている。だが、他人から見れば、単なる街の風景。果たしてどんな“答え”が待っているのか?

COCOON PRODUCTION 2021『物語なき、この世界。』

「物語」への執拗な考察をフックに、人間のサガとエゴを炙り出す三浦大輔の新境地。7月11日~8月3日、Bunkamuraシアターコクーンにて上演 【三浦大輔】 ’75年、北海道生まれ。’96年より演劇ユニット「ポツドール」を主宰。’06年、『愛の渦』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。’18年の舞台『そして僕は途方に暮れる』を原作に、自ら監督した映画が2022年全国公開予定 取材・文/轟 夕起夫 撮影/杉原洋平
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