Teams、Slack…チャットツールで「24時間仕事に拘束される」恐怖。現場で生まれた解決策とは
新型コロナウイルスの感染者数が劇的に減り、国民の過半数が2度のワクチン接種を終えた。いま、「ついに元の生活に戻れるのはないか」という期待感が高まっている。一方、コロナ禍で急速に進んだ仕事の「リモート化」をそのまま維持しようとする企業も少なくなく、「元の生活」と言っても、以前とはだいぶ違うライフスタイルをすでに確立しており、元には戻れないという人も多いだろう。
民放キー局の情報番組プロデューサーが「つながらない権利」について解説する。
「出社する必要がなくなり、自宅などで仕事をする人が増えましたが、欠かせないのが“チャットツール”を使った連絡手段です。マイクロソフトの『チームス』が代表的ですが、他にも『スラック』や『チャットワーク』を使う企業は多く、出社しているのと同様か、それ以上に効率的に他者とコミュニケーションが取れます」(民放キー局プロデューサー)
これらのチャットツールでは、チャットだけではなくファイルの送受信や、ビデオ会議も簡単に行うことができることから「仕事がしやすくなった」と感じている人が多い反面、あまりにも円滑に、気軽に、そしていつでもどこでも連絡が取れてしまうことから「仕事から逃れられない」「プライベートが無くなった」と感じる人も少なくないという。
「SNS疲れならぬ、“チャット疲れ”とでもいいますか。取材をすると、何時以降は連絡を取らなくていいとか、土日はチャットを見なくてもいいとか、チャットやネットワークに“繋がっていなくてもいい”という独自の基準を設けている会社もありました。
でも結局は、いつでもどこでも仕事ができるという便利だけど煩わしい『特性』はあるわけで、ほとんどの人が、以前に比べて仕事の拘束時間が増えていると感じています」(同)
筆者も同様の「煩わしさ」を大いに感じている。深夜の3時に電話してくる編集者はいないが、深夜の3時にチャットをよこしてくる人間が増えたのだ。
相手からすれば「お手すきの際に確認を」という認識なのだろうが、チャットツールのほとんどに、LINEのような「既読」マークがついてしまう。
眠気まなこでチャットを見てしまったら、筆者が「確認した」ことがわかってしまうのだ。メールのように「気がつかなかった」などの言い訳は通らず、返信までに時間が経てば「不誠実」の印象を持たれることも必至である。
チャットツールを活用している多くの会社員に取材しても、同じような悩みを持っている人が多かった。
実際に「チャットツールを取り入れたクライアントから深夜に質問を受け、朝までに返信しなかったら『このプロジェクトで今はあなたがボトルネック(効率が悪くなる原因)になっている』と言われました。相手はクライアントとはいえ、勤務時間外なのに容赦がないです」(30代・IT企業勤務)というケースもある。
そんななか、SNSだけでなく、新聞やテレビなどのメディアでも報じられるようになったのは「つながらない権利」なるキーワードである。
チャットツール普及で「仕事から逃れられない」「プライベートが無くなった」の声
便利な反面、煩わしい特性
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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