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「今さら無理…」働かないおじさんは、なぜ生まれるのか?出世レースから外れた人たちの本音

出世レースから外れた「おじさん」たちの本音

シニア 職場 研修の冒頭で、人事部長から直々にある通達がされました。「皆さんの今の状態が今後も続くようであれば、会社としては処遇を下げざるを得ない。ただし、会社としては処遇低下が目的ではなく、改善を期待したい。1年間を改善期間として猶予し、改善機会も提供するので、それまでに本気で変わってほしい」。  この通達の後、私は対象社員と数日間の研修で付き合うことになりました。対象社員たちは当初、諦めと反発ムードでした。低評価が続き、出世レースから外れ、定年まであと10年を切った状態です。 「今さら、無理」「厳しいこと言っても、どうせ何とかなる」「多少給与が下がっても定年まで我慢すれば良い」「会社は、体よく自分たちを辞めさせたいのだろう」「今の上司と働く限り、評価は上がらない」といった投げやりな発言が、研修の中でも聴かれました(研修中は人事には退席してもらい、本音を開示しやすくしました)。

会社の指示よりも、本人の「想い」が重要

 こういう否定的な状態に対して、理詰めの説得や会社側に立った論破は効果が無く、余計にガードが固くなるだけです。本人の内省(自分と向き合うこと)が重要です。研修では、内省を促すために色々な問いを、個人・グループで考えて話し合ってもらいました。 「あなたは今の状況に対してどう感じていますか」 「このままの状況が続くと、どうなると思いますか」 「自分としては、どういう状態になれると嬉しいですか」 「会社は、なぜ手間と金をかけて研修機会を用意したと思いますか」 「今までの仕事人生で、嬉しかった瞬間はどんな時ですか」 「その瞬間や気持ちと現状のギャップはありますか」 「ギャップを埋めるために、どんな行動が必要だと思いますか」  現状に対して少し投げやりになっている人は確かにいます。しかし、本音で「自分の人生がどうなってもいい」「仕事で評価されなくても構わない」と思っている人はいません。  会社が一方的に指示を出すのではなく、将来を自分自身で考えてもらうことが重要になります。難しい取り組みではありましたが、本人たちも少しずつ真剣に自分の人生や今後の変化に対して向き合ってくれるようになりました。事前に上司からも「あなたに期待していること」という手紙を書いてもらい、研修後半で渡すなどの工夫も行いました。
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重要なのは彼らを頭ごなしに否定しないこと
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