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「大々的な忘年会はゼロだった」飲食店関係者のユーウツな年末年始

少人数で1時間ほどで切り上げる客ばかり

伝票 斉藤さん同様、一般人が思うほど飲食店には客が戻っていないと嘆くのは、千葉県内の創作料理店店主・中島典子さん(仮名・50代)。 「昨年末は、常連のお客さんが“大変でしょう”と、正月用の料理を頼んでくれたりしましたが、今年はほとんどない。客も戻ってるし、もう安心だね、なんて言われますが全然そんなんことはありません。コロナ禍初期に借りたお金の返済も始まっていて、もう破産寸前なんです」(中島さん、以下同)  実際、秋口以降から、中島さんの店にも客が戻ったといえば戻った。しかし、何時間も長居して、酒をガブガブ飲んで帰ってくれるような客は皆無。少人数でやってきては、1時間ほど飲んでさっと引き上げる客ばかりで、店をあけているだけで赤字になるような日もあった。

「オミクロン株」の登場

 さらにここに来て「オミクロン株」という、新たな懸念材料も出てきた。 「12月の中旬以降、それこそこっそり忘年会をしよう、という人の中には、オミクロンがあるからとキャンセルされた方もいる。せっかく人が外に出始めたのに、また逆戻りです」  年末年始の繁忙期が消え、飲食業界では「閑散期」とも呼ばれる1〜2月に突入。中島さんは、飲食店の多くが自身と同じような状況に追い込まれているのではないかと気を揉んでいる。 「去年も地獄だと思っていたけど、今年はもっと地獄。お金が本当にないし、世間様は“飲食店は協力金で儲かった”ともおっしゃりますから、私たちはすでに八方塞がり」(中島さん)  今なおコロナ禍に翻弄される飲食業界。もはや、苦痛を訴える声すら上げられないほどのようだが、その実情は年末を慌ただしく過ごす市民の目にはうつらなかった。今頃、飲食店の人たちは憂鬱な年明けを過ごしているかもしれない。 <取材・文/森原ドンタコス>
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