「大々的な忘年会はゼロだった」飲食店関係者のユーウツな年末年始
コロナ禍に振り回されてきた飲食業界。感染者数が減り、客足が戻りつつあるように思われているが……。現実はどうなのか。
「年末休みに入り、いよいよ客がゼロに。感染者数が落ち着いたとはいえ、大々的に忘年会をやっていただける会社はありませんでした。多くても4〜5人組みの客で、1時間ほどで切り上げて帰っていく。コロナ禍で最悪だったときより少しマシな程度でしょうか」(斉藤さん、以下同)
東京都内では感染者数が一桁の日が続き、テレビのワイドショーでも「客でごった返す居酒屋」が報じられていたが、そんな店は「ごく一部」。あるいは「客が少ない時間帯を避けて撮っているのではないか」と話すほど、客足の戻りは鈍いものだったという。
そんなお寒い年末をある程度見越して、斉藤さんはクリスマス用のオードブルや正月用の単品料理を販売しようと、常連客にすすめて回ったというが……。
「みなさん、早々と通販でお節料理を予約していたり、今はふるさと納税がブームですから、それでカニやカズノコを手に入れていたり。私が宣伝をしたところで、『最近はスーパーだって年末年始はお休みなんだから休みなよ』なんて言われる始末」
客にとってみれば、飲食店にはすでに「人が戻っている」ので、かつてのように心配する必要はないと思われている……そう感じている斉藤さんだが、どんなに窮状を訴えても理解は得られないのだと肩を落とす。
「お店には確かにお客さんが戻りました。でも、平時の半分程度で、客単価は3分の1。こんな状況で、もう飲食店は大丈夫だと言わんばかりに協力金も打ち切られ……」
昼間であればスーツ姿のサラリーマンが行き交う都心の通りからも、すっかり人の姿が減った年の暮れ。かつて週末ともなれば、酔客でごった返していたという東京都中央区の居酒屋店主・斉藤孝文さん(仮名・40代)は、軒先に赤提灯をぶら下げ、誰かがのれんをくぐるのを待ち続けていた。
年の暮れも大々的な忘年会はゼロだった
飲食店は「もう大丈夫」と思われている
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