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展示作品がしゃべり出す!? 東京国立博物館とリアル脱出ゲームのコラボに潜入してみた

日本最古の博物館に、「謎」が仕掛けられた

 謎解きブームが冷めやらない。 「謎解きイベントカンファレンス」によると、‘09年頃から普及し始め、’15年時点で市場規模は400億円、体験者数は延べ500万人を超えるという。近年は国外でもイベントが催されるようになり、その勢いは加速度的に増している。  謎解きブームの旗振り役となっているのが、株式会社SCRAPが企画・運営する「リアル脱出ゲーム」だ。‘07年に初開催して以降、現在までで累計940万人以上を動員。なかでも東京リベンジャーズや名探偵コナンなど、アニメ作品とのコラボが人気を博している。  そんなSCRAPが、驚きの新作を発表した。「東京国立博物館からの脱出」だ。
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東京国立博物館。創立150年を記念し、リアル脱出ゲーム以外にも今後さまざまな記念事業が開催予定だ。

 東京国立博物館は日本で最も長い歴史を持つ博物館で、今回、創立150年記念事業の一環としてコラボと相成った。館内でリアル脱出ゲームが開催されるのは初の試みだ。  開催は5月12日から。それに先駆けて行われた記念セレモニー&先行体験会に、日刊SPA!記者が参加。一足先に謎を解き明かしてきた!

新人探偵になって良質な謎解きをこなしていく

リアル脱出2

最初に手渡される謎解きキット。衝撃のギミックが満載だ。細部まで読み込まれたい。

 リアル脱出ゲームとは、謎を解き明かすことである特定の空間から脱出を目指す体験型ゲームイベントのこと。『東京国立博物館からの脱出』では、プレイヤーは探偵事務所に入所したばかりの新人として、博物館で起こる奇妙な出来事の解明に挑む。事件を紐解く鍵は、展示されている「作品の声」だ。まずはチケットと引き換えに謎解きキットをもらい、作品の声を聞くことができる専用アプリをダウンロードする。必ずイヤホン持参のうえ参加されたい。  アプリを開くと、探偵事務所の所長・湯島と、その助手・赤坂との3人でのチャット形式で物語が進行する。会話の内容はとかくリアルで緊迫感があり、まるで本物の探偵になった気分が味わえる。スタート地点となるのはアジアの神秘あふれる東洋館。指示に従って本館へ移動したら、ついに本格的な聞き込み開始だ。リアル脱出ゲーム初体験の筆者は、ワクワクが止まらない。  本館に着くと、東京国立博物館本館の象徴である大階段と大時計がそびえる。荘厳な雰囲気のなか作品の声を聞きながら調査を進めるのだが、展示されている美術作品や歴史資料、考古遺物の数々にたびたび圧倒された。土偶や埴輪に始まり、仏像、和歌、刀剣、甲冑、浮世絵……。教科書で見た名品の本物が目の前に並んでいる。まるでタイムマシンに乗って時間旅行をしているようだった。 「すごい」  博物館なので、声にならない声でそうつぶやく。幸い制限時間はない。謎解きの面白さは言わずもがな、時に謎解きを忘れて文化活動に没頭した。  また、作品との会話によっては東京国立博物館の歴史や作品の解説もしてくれる。さながら一流のガイドが付いているかのようで、博物館そのものの面白さにも気づかせてくれた。  さて、肝心の謎解きだが、頭の固い筆者は悪戦苦闘していた。ブースを何周もしながら、一つの謎に30分以上かかったことも。 「俺、一生出られないんじゃないか……?」  そうして筆者より後にゲームを始めた参加者が続々と真実に辿り着く焦燥感のなか、3時間かけてようやく脱出に成功。ひらめきはもちろん、作品ばかりに注視するのではなく、館内全体を見渡す視野の広さが求められることもあり、とても良い頭の体操になった。  すべての謎が解き終えたときの感動はひとしお。ネタバレになるので詳しくは書けないが、衝撃のラストは必見だ。
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リアル脱出ゲーム開催は東京国立博物館の「新しい一歩」
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