そして先日のM香さんの誕生日に彼氏は、ハイブランドのバッグをプレゼントしてくれたそうなのですが……。 「M香は『やっぱり私のことを大切に考えてくれたんだ！』と一瞬喜んだそうなんですが、その後、彼氏の部屋に同じバッグの包みを2つ見つけて『これはどういうこと？』と聞いてみると『行きつけの飲み屋のママとか女の子が誕生日の時のために買い置きしておくと便利だから。女の人はみんなこのバッグが好きだから間違いないでしょ？』と言われて、すごくショックだったみたいで」 　M香さんは“このバッグ、私の喜ぶ顔を想像しながら選んでくれたヤツじゃないんだ……しかも、女にはハイブランドあげとけば間違いないって、そんな心のこもっていない量産プレゼントなんて、いくら可愛いバッグでもあまり嬉しくない。私のこと何だと思っているんだろう？”という思いが数日間、頭の中を回り続けてモヤモヤしていたそう。 「そんな時に以前、M香がチラッと『お麩が好き』と言っていたのを僕は覚えていて、プレゼントされたことが本当に嬉しかったみたいで。しかも、『こんな可愛いお麩初めて見た！星型でパステルカラーなんて、私の好きなリトルツインスターズみたい』とめちゃくちゃ喜んでくれたんですよね。たった200円ぐらいの物なのに」 　それから敦彦さんは時間をかけて、M香さんが今まで吐き出せなかった思いを全部聞いてあげたと言います。 「その日からグッと距離が縮まって、M香から『彼氏と別れて同棲を解消するから、しばらく待っていてくれる？』と言われた時は驚きました。首がもげるほどうなずきましたね」 　そして、敦彦さんとM香さんは再び付き合うようになったそう。 「せっかく彼女が僕を選んでくれたのだから、幸せにしなくちゃと強く思っています。あれからスーパーを見かけると可愛いお麩があるかチェックするのがすっかり習慣化しました」 このエピソードから学ぶべきところは“心がこもっていればどんな安物でも女性は喜ぶ”ということではありません。 　日頃から彼女を観察し、想像力を働かせながら選んだ物を、ここぞというタイミングでプレゼントできたなら、たいていの女性は笑顔になるのではないでしょうか。 ＜取材・文・イラスト／鈴木詩子＞ 漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』（青林工藝舎）が映画化。