更新日:2023年07月30日 21:00
仕事

ネズミが大量発生したラーメン店。「落とした食材が30秒で喰われる」惨状を放置した結果…

厨房に入らない店長には事の重大性が伝わらず…

 Kさんが働いていた店は、社員は店長1名のみ。基本的に事務作業が中心で、厨房に入ることはほとんどなかった。そのため、ネズミが大量発生する惨状を大きな問題と捉えておらず、アルバイト一同で対処してもらうよう懇願しにいった。 「しかし、『建物がかなり古いから仕方ないよね』とか、『駆除しても、どうせまた出てくるしね』と、まともに取り合ってくれず、絶望的な気分になりました。それでも、数日後にホームセンターで殺鼠剤を買って来てくれたので、日ごろの恨みを晴らすべく厨房に撒いてやりましたよ」  しかし、一時的に効果はあっても、外から次々と侵入してくるネズミたちに対処しきれず、まさに焼け石に水という結果に終わってしまう。そんなある日、想像もしたくないような事件が発生したのだ。 「お店の2階が休憩室になっているんですが、天井裏からは、ネズミが走り回る足音がひっきりなしに聞こえていました。当時は24時間営業だったので、夜勤の人はその休憩室で仮眠をとっていたんです。ある先輩が寝ていると、天井に開いていた穴からネズミが顔面に落下して来たそうです」  先輩は悲鳴をあげてネズミを振り払ったが、ネズミにこびりついていたすすの汚れで顔面が真っ黒に。また、どぶのようなニオイが洗っても洗っても落ちず、その日は早退を余儀なくされた。

「一網打尽作戦」を決行

 アルバイトのメンバーたちが知恵を絞った結果、一網打尽にできそうな作戦が完成する。手始めに取り掛かったのは、店舗裏のゴミ捨て場。1m四方の木枠で囲まれた作りになっていたが、足元の角の部分が食い破られて穴が空き、ネズミたちはそこから出入りしてはゴミ袋に入った残飯を漁っていたという。 「まず、僕がゴム手袋をして雑巾を数枚持ち、足元の穴を塞ぎます。その隙に先輩がゴミ袋を外に出していくと、総勢20匹くらいのネズミの姿が……。先輩は網を使ってネズミを捕獲していき、空の一斗缶に放り込んでいきます。一斗缶の中でネズミが暴れまわるゴトゴトという音が怖かったです。  でも何より不気味だったのは、穴を押さえている僕の手にガリガリという感触が伝わって来たことですね。押さえている雑巾を食い破って外に出ようとしていたんです。木枠にさえ穴を開けるのを知っていたので、すぐに自分の手のひらに到達する気がして、先輩に『早く! 早く!』と命令口調で絶叫してしまいました」
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恐れていた事態が発生…
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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