仕事

「大学出てるのに、こんなのもわからねえのかよ?」大卒が差別される職場で苦しむ20代男性。退職を決意した“中卒社長の一言”

退職届を出したところ、思いもよらぬ反応が

 唯一、事務の30代の女性だけは河原さんを気遣ってくれたという。 「彼女からは『社長が中卒、幹部達はみんな高卒ということもあって、大卒は目の敵にされるんです』と教えられました。彼女は短大卒なんですが、やはりまともに仕事を教えてもらえず、苦労を味わってきたそうでした」  仕事自体は楽なものの、あまりにも人間関係でストレスがたまるので、河原さんは退職届を部長に提出することに。 「退職を伝えると、それまでとは打って変わって退職を思いとどまるよう説得されました。退職理由は周りの社員によるハラスメントだと伝えると、『改善するから残ってほしい』と言われて。途中から社長も同席し、懸命に慰留されました」  やむなく、いったんは退職を思いとどまることにしたが……。

酒の場で本性が明らかになった

「部長の言葉通り、いったんは収まりました。でも、それから何ヶ月かした頃に会社の飲み会があって渋々参加したところ、一発芸をやらされたんです。しかし、あまりハマらなかかったのか、酔っぱらったベテラン社員から『仕事もできねえし、一発芸もダメ。何ができんだよ!』とヤジられ、周りの社員達も同調し始めたんです」  ショックだったのは、そこに社長も加わったことだという。 「社員を大事にしている印象があって、だからこそ説得された時に残ったんです。なのにその社長から『学歴がある奴が仕事できるなんてのは嘘だからな。コイツを見てるとわかるだろ』と言われました。それからは次々とベテラン社員から罵倒され、『どうせおまえの親もクズなんだろ?』とまで言われました」  酒で経営陣の本性を知った河原さんは、再び退職届を出すことに。 「社長からは『認めない』と言われましたが、『パワハラで訴えますよ』と告げて退職しました。会社からは自己都合退職と勧告されましたが、ハローワークに相談したところ会社都合に変更できました。パワハラ被害が認定されると、ハローワークでの求人もできなくなるんですが、その後どうやら掲載不可認定に。あの会社はハローワークで採用する例も多かったので、その道を潰せたのは良かったと思います。自分のような思いをする人間は増やしたくないので」 <TEXT/和泉太郎>
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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