更新日:2024年05月05日 15:59
エンタメ

元セクシー女優が「AV新法による“業界の悲痛な叫び”」を暴露。事務所やメーカーにもしわ寄せが

契約を気にせず引退することも可能に

たかなし亜妖さん また、新法制定後は事務所の契約期間を一切気にせず、いつでも退所ができる。  よく芸能界で「あと契約まで〇カ月残ってるからやめられない」なんて話を聞くが、セクシー業界にはそれがない。たとえ明日明後日現場が決まっていても、今すぐ引退したければ、すべてをキャンセルしたって違約金も何も払わずに速攻やめられる。 「覚悟ができないなら最初から出演すんなや」なんてキツイお言葉は一旦置いておいて……。とにかく演者が最優先となれば働き手としての負担が減るので、新法は業界のブラックなイメージを払拭するのに一役買っているのだろう。

新法制定で現場のあり方が大きく変わる

 しかし、残念ながら制定後はいいことばかりではない。演者としては負担が減って有難いものの、その分のしわ寄せが事務所やメーカーにきている。  例えば現場が明日決まっていて、女優が「今すぐ辞めたいです!」と言ったとしよう。もちろん本人の意思を尊重し、人権を守らねばならないから申し出を引き受けるほかないのだけれど、事務所や制作側からすれば“勘弁してくれ案件”でしかない。当然、撮影のための人員(監督、ヘアメイク、ADetc.)とスタジオは押さえてしまっている。単体作品ならその女優に合った衣装の購入までしているかもしれない。いろいろな人のスケジュールをバラしたとしても、ギャラを支払う必要があるため、飛ばれると見事にマイナスまみれなのである。  だからこそ撮影前に本人の意思確認を入念に行い、「この子は本当に大丈夫か」なんて見定めを以前よりしっかりと行うようになったが、それでも“明日やめます勢”をゼロにするのは難しい。女性が被害に遭わないのが一番重要なポイントではあるものの、その裏では真面目にやっているスタッフ陣がひたすら歯を食いしばっているのだ。  かつて強要問題を引き起こしたメーカーや事務所のせいでこうなった、といっても過言ではないけれども、新法が必ずしも業界にプラスの影響を与えているわけではない。締め付けが強くなる分メリットデメリットは必ず起り得るものだが、演者ファーストと言いつつ実は現役セクシー女優にもしわ寄せがきているとか……。  グレーな業界のクリーン化は難しく、大きな課題がいっぱいだ。来週公開するAV新法にまつわる話の後編では女優たちの苦悩についてもお話していく。 文/たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya
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