就職難のウソを作り出す数字のトリック
―[[20代の就職難]はウソだった!]―
◆「若年正社員はこの15年で300万人減り、非正規に切り替えられた」はウソ
’94年と’08年の「労働力調査」(厚労省)から比較すると、15~24歳の正社員数は確かに266万人減少している。しかし、15~24歳の総人口自体が573万人減っているということ、大学が乱立され、大学生・院生が48万人増加しているという事実が無視されている。2つを合わせると620万人。減っているように見えるのが当然だ。
さらに、10年前(’99年)に15~24歳だった人たちの就業状況と、彼らが25~34歳になった現在の就業状況を比べると、正社員数の伸び率が大きく、65・5%から10年後には74・4%にまで上昇している。つまり、いつの時代も若年層は非正規率が高く、在学生が卒業して世に出ると正規率が上がるカラクリだ。
◆「失業率が悪化し、日本の若者(15~24歳)は貧困にあえいでいる」
日本の若者の貧困化がいわれているが、日本の15~24歳の失業率は、7・2%。ところが、EU19か国は15・1%、フランスに至っては18・1%と実に5人に1人が働き口がないのが実情だ(いずれも’08年)。新卒一括採用や未経験者採用がある日本は、実は若者に優しい社会である。
◆「フリーターは一生、正社員にはなれない」はウソ
多少、データは古いが、左表の「若年者就業実態調査」(’97年・旧労働省)を見てほしい。これから、新卒で正社員就職できなかった人のうち、66%がその後、正社員化していることがわかる。新卒で思うような就職ができなかったら、以後、正社員の道は閉ざされてしまうというのは言いすぎなのだ。
また、「雇用動向調査」(’09年・厚労省)では、20代前半の未就業者・既就業者を問わず、あらゆる企業規模で若年転職を受け入れている。ニートやフリーターでも、早々に中小企業に中途入社して、頑張ったのちに、大手の第二新卒枠でリベンジは十分可能なのだ。
『「若者はかわいそう」論のウソ
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