大谷翔平3度目の「満票MVP」に逆風?62HRのジャッジに“ケチをつけた”2年前の因縁
今週はメジャーリーグの個人タイトル受賞者が次々と発表されている。新人王から始まり、最優秀監督、サイヤング賞がすでに発表済み。そして大トリとして、日本でも最注目のMVPが現地21日(日本時間22日)に発表される。
MVPとはMost Valuable Playerの略で、文字通りシーズンで最も優れた成績を収めた選手に贈られる賞だ。すでに各リーグから最終候補3選手ずつが発表されているが、ア・リーグはヤンキースのアーロン・ジャッジが、ナ・リーグはドジャースの大谷翔平が受賞するとみられている。最大の焦点は満票かどうかだろう。
ともに中心選手としてシーズンを通してチームをけん引し、リーグ優勝に導くと、ワールドシリーズでは両者による夢の対決も実現した。
ただし、ポストシーズンではともにレギュラーシーズンほどの活躍を見せることができず。特にジャッジは9月にやや成績を落とすと、ポストシーズンでは大不振に陥る事態に。打撃面だけでなく、ワールドシリーズ第5戦では痛恨エラーを犯し、戦犯扱いされた。
ただMVPの対象となるのは、あくまでもレギュラーシーズンのパフォーマンスに対して。攻守に大活躍したロイヤルズのボビー・ウィットJr.に1位票を投じた記者がいてもおかしくはないが、かなり高い確率でジャッジが満票で受賞することになるだろう。
一方の大谷は史上6人目の「40本塁打&40盗塁」をスピード達成すると、9月に自慢の打棒が大爆発。最終的に「54本塁打&59盗塁」までその数字を伸ばした。こちらも満票で、自身3度目の受賞が濃厚とみられる。
ただし、大谷にMVPを与えない理由が一つだけあるとすれば、一度も守備に就かなかったことだろう。今季は自己最多の159試合に出場した大谷だが、すべて指名打者(DH)でのもの。これまでDH専任選手は一人もMVPを受賞していない歴史的事実が重くのしかかる。
実際に、SNS上には「大谷はあくまでも最優秀“打者”。最優秀選手はリンドーアだ」という書き込みもあったほど。投票権を持つ記者の中に、DH専任選手には1位票を投じないという考えがあってもおかしくないだろう。
もしその記者が大谷以外に1位票を投じるとすれば、名前の挙がったフランシスコ・リンドーアになるはずだ。リンドーアはメッツのリーダーとしてチームをけん引。ナ・リーグ優勝決定シリーズでドジャースに敗れたものの、最後まで抵抗したのはリンドーアによるところが大きかった。遊撃手としての守備の貢献度も加味すれば、8月までは大谷とMVPを争う存在だったのは間違いない。
ところが、リンドーアは9月にケガで戦列を離れた期間があり、その間に大谷が歴史的快挙を達成。そのため、リンドーアはMVP争いで大きく後れを取ってしまった印象だ。
ここで改めてMVPの投票システムを紹介しておこう。
両リーグともに全米野球記者協会(BBWAA)に所属する記者による投票となっている。各リーグの本拠地都市から2人ずつの30人、両リーグ合計60人が、それぞれ10選手に1位から10位までの順位をつける。
もちろんメッツが本拠地を置くニューヨークも2人の記者が投票権を持っており、彼らが大谷ではなく、リンドーアに1位票を投じている可能性はゼロではないだろう。
大谷翔平は3度目の満票受賞なるか
前例のない「DH専任選手のMVP受賞」
ニューヨークの記者がリンドーアに投票する可能性も
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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