「電話応対が怖い」新入社員に優しく指導したはずが、退職代行から連絡が…愕然とした30代社員の嘆き
iPhoneが日本に上陸したのもはや15年以上も前のこと。PHSや携帯電話の中高生への普及が原因と目された、「電話恐怖症の若者」の最初の世代ももう中堅である。
だが、電話を苦手とする若者は減るどころか、増加・悪化の一途を辿っているようだ。今回、電話応対が下手な職場の新人に手を焼いたエピソードを教えてくれたのも、かつては電話下手と揶揄された世代の当事者である。
都内の企業に勤務する村井優一さん(仮名・30代)いわく、「我々の世代の感覚からしても、今の子は完全に別のコミュニケーションスタイルなんです」と、その埋めがたいギャップの大きさを語る。
村井さんは物流業界の営業部に所属している。昨年の5月中旬には、研修を終えた新卒の山下果歩さん(仮名・20代)が配属され、教育係を任されることになったそうだ。
「研修担当者からは『良く言えば天真爛漫、悪く言えば常識がない人物』と聞いていました。実際に会ってみると、ハキハキしたしゃべり方で、コミュニケーション能力も高く、営業向きな素質を感じました」
下馬評よりも好印象を抱いた村井さんだったが、その期待はあっさり破られることになる。
「新人の仕事といえば、なにより電話応対。新卒のアラも春のうちならば、どの会社も大目に見てくれますから、最初の頃のダメっぷりはあまり気にしていませんでした。
自社の人間に“さん”づけをしたり、相手が切る前に電話をガチャ切りしてししまったりしても、これまで知らなかっただけで、教えれば問題ないだろうとタカを括っていたんです」
そう楽観視していた村井さんだが、社会人としての基本のマナー以前に「電話への不慣れさ」が予想をはるかに上回っていた。
「相手の名前を間違って伝える、保留にせず受話器を置いて切る、話しながらメモを取ることができないために伝言を伝えられない……。など、電話に関するトラブルは一通り起こしていました」
しかし、村井さんがもっとも頭を抱えたのはまた別の問題だったという。
「電話になると言葉遣いがおかしくなるんです。もちろん、厳密には対面でもおかしな敬語は混ざっているのですが、愛嬌や間合いなどの非言語コミュニケーションが達者だからか、あまり気にならない。
本人も自覚があるのかないのか、話し言葉しか使えない電話口ではあがっているようで、どんどん日本語が崩壊していってしまう。『お世話になっております』を『お世話でございます』とか、『お待たせしました』を『待たしくださいました』とか。
ちょっと言い間違えてしまう、たまに噛んでしまうくらいならかわいいものですが、先方から『子供でも雇っているのか?』と不審がられるほどに多発させていたんです……」

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電話受けが出来ない新入社員
電話になると言葉遣いがおかしくなる
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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