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1番・大谷翔平にチャンスで回らない…ドジャース地区4連覇も「下位打線低迷問題」が深刻すぎるワケ

 ナ・リーグ西地区は、ドジャースがパドレスを振り切って地区4連覇を達成。これで今年のポストシーズンを第3シードとして戦うことが確定した。  3戦2勝制のワイルドカードシリーズは、本拠ドジャーススタジアムで、第6シードのチームと対戦。これを勝利すれば、第2シードのフィリーズとの地区シリーズに臨むことになる。

救援陣が崩壊状態…ポストシーズン最大の不安要素

 ドジャースは優勝を決めたとはいえ、9月は決して絶好調というわけではない。同じく勝負所で勝ちあぐねたパドレスに助けられた部分も大きかった。  ドジャースの足を引っ張っているのが、すでに崩壊状態ともいえる救援陣だ。特に9月に入ってから、先発投手陣の“奮投”を台無しにするケースが多く、ポストシーズンに向けて最大の不安要素となっている。  一方で、6人で回しているドジャース先発陣はいずれも好調を維持している。ただし、ポストシーズンに入れば、4人で回すことが想定されるため、今季10勝2敗のクレイトン・カーショーと、同6勝3敗のエメ・シーハンの2人が救援に回る公算が大きい。  このうちカーショーはすでに25日(日本時間)のダイヤモンドバックス戦でリリーフ登板。同点で迎えた9回のマウンドに上がり、1イニングをピシャリと抑え、不安だらけのドジャース救援陣に希望の光をともした。  また、同試合の7回にマウンドに上がった佐々木朗希も1回無失点の完璧リリーフを見せると、27日のマリナーズ戦も1イニングを無失点に抑えた。リリーバーとして佐々木が計算できるようになれば、ドジャースの“アキレス腱”の痛みもかなり緩和されることになりそうだ。  ポストシーズンは継投のタイミングが勝敗を大きく左右するといわれるだけに、指揮官のロバーツ監督がどのような采配を振るうのかにも注目が集まる。

「1番大谷」に“繋がらない”下位打線の深刻化

 そのドジャースだが、アキレス腱を抱えているのは救援陣だけではない。1番・大谷翔平につながる“あの問題”を解決できないままポストシーズンに突入する可能性がある。  ドジャース打線といえば、メジャー屈指の破壊力を誇り、その得点能力は両リーグを通じてもヤンキースと双璧レベルだ。  特に大谷を筆頭に、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、テオスカー・ヘルナンデスらへと続く上位打線は、相手チームにとって脅威以外の何物でもない。  とはいえ、ドジャース打線にも弁慶の泣き所は存在する。それが、7番から9番のいわゆる下位打線だ。  メジャーリーグでは、“2番打者最強説”なるものが取り上げられるようになって久しい。かつては3番から5番のクリーンアップと呼ばれる打順に強打者を置くのが定番だった。メジャーリーグでクリーンアップは4番打者のことを指すが、チームの最強打者が務める打順はかつての4番から3番へ、そして2番へと変化してきた。  大谷も例外ではなく、エンゼルス時代は3番や2番を務めることが多く、ドジャースに移籍した昨季も開幕は2番を打っていた。しかし、不動の1番ベッツの戦線離脱に伴い、大谷が1番を打つようになると、そのままリードオフマンとして定着し、今に至っている。  チーム最強、いやリーグ最強打者の一人、大谷が1番を打つドジャース打線にとって、何より重要となるのが下位打線の出塁能力だろう。1人でも多くの走者を置いて大谷の打順に回すことができれば、より多くの得点が期待できるからだ。  しかし、ドジャースにとってこの下位打線が弱みの一つとなっている。開幕から7番を務めた打者は10人、8番は15人、9番は16人が務めているように、ほぼ日替わり状態。さらに打率や出塁率は低調で、7番から9番の合算打率は2割台前半、出塁率も3割に達していない。

ソロホームランが異常に多い理由

 これは大谷の本塁打の内訳を見ても明らかだ。大谷が今季放った54本塁打のうち38本が走者なし。つまりソロ本塁打である。それ以外の15本のうち、13本が2ラン、3本が3ランで、満塁弾は0本となっている。  本塁打王を争うカイル・シュワーバー(フィリーズ)のソロ32本、2ラン14本、3ラン8本、満塁弾2本と比べても、いかに大谷が無走者で打つ機会が多いかわかるだろう。
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得点圏で1番打者の打席数はリーグ最小クラス
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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