更新日:2025年09月27日 09:34
ライフ

「生活費は月1万バーツ(5万円以下)」タイに家族で移住した日韓・国際結婚夫婦の日常。苦労の中で見つけた節約の工夫とは

一昔前まで「月5万円あればタイで悠々自適に暮らせる」といわれていた。しかし物価高や為替の変動により、その夢は年々厳しさを増している。 タイ・パタヤ南の港町で月5万円の生活費で暮らす家族がいる。韓国・済州島出身の李知勲(ジフン)さん(41歳)と友子さん(40歳)の夫婦、そして長女・柚奈さん(11歳)だ。
家族

友子さん・知勲(ジフン)さん・柚奈さん

友子さん夫妻はパタヤ・バンコク・プーケット発のフィッシングツアー「Mokoley Fishing」を経営している。どのようにやりくりをし、どんな日常を送っているのか。タイ移住に至った経緯や、現地でのリアルな暮らしぶりまで話を聞いた。

出会いと結婚、タイ移住のきっかけ

結婚当初

結婚当初の友子さんと柚奈さん(当時1歳)、ジフンさん

大阪府出身の友子さんとジフンさんが出会ったのは、今から14年前。友人を介した食事会がきっかけだったと話す。 「最初は友達として付き合いが始まり、数年後に交際に発展しました。交際する時点で結婚を意識していて、親に紹介したタイミングで夫の父が末期がんで入院していたんです。そんな中で私のお腹に娘が舞い降りてきて、結婚することになりました」 当時ジフンさんはアパレルの仕事から大型トラックのドライバーに転職。運送会社は給料こそ悪くなかったが、夜勤が多く、夫は娘と顔を合わせる時間さえないほどすれ違いが続いたという。 「もともとは私の曽祖父が設立した会社で、戦後から木工を中心に製造業をしてたんです。けれど、父の代になって日本での製造が難しくなり工場をタイに移したんです。今も木工の工場はタイのスパンブリーにあります。それから日本のフィッシング・アウトドアメーカー『SHIMANO』代理店として釣りの事業も広げていき、その流れでバンコク、パタヤを中心にツアー事業も展開していきました。その後コロナが明けたタイミングで父から声をかけられ、釣りツアーをジフンが任されることになったんです」 ジフンさんも運送会社での仕事に疲れており、友子さん自身は「家族で海外に挑戦することで、それぞれが成長できるのではないか」と考えた。 「でも夫はとても現実的な人なので、本当にやっていけるのかとずいぶん悩んでいました。でも友達や家族も私たちの決断を応援してくれて、『失敗したら帰ってきたらええやん!』と笑いながら背中を押してくれたこともあり、せっかくのチャンスなのでやれるところまでやってみようと思いました」

タイへ移住…しかし、苦労の連続

フィッシングこうしてタイのパタヤへと移住した友子さん一家。ただし、事業を引き継ぐにあたって、さまざまな苦労があったという。 「コロナ明けや円安の影響、さらにタイから多くの日系企業が撤退して、駐在員が減ったこともあって……。コロナ前は社員旅行など、団体で利用してくれる日本人のお客さんが多かったのですが、最近はほとんどいなくなってしまい……経営は正直、いまでも厳しい部分があります」 さらに追い打ちをかける出来事もあった。 「事業を継いで1年も経たないうちに、ツアー用の船が動かなくなってしまって修理続きでした。日本から輸入した船ということもあり、タイで修理ができる整備士が少なく大変でした。修理しても、別の箇所が故障するという事が続き、結局新しい船を購入することになったのですが、新しい船の購入をするのにもいい船がなかなか見つからず苦労しました」 船を停泊させるマリーナ代も大きな負担だった。現在は別のマリーナを見つけ、費用はかなり抑えられているというが、日々の生活は決して楽ではないと語る。
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生活費は月1万バーツ(5万円以下)
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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