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大谷翔平、山本由伸……日本出身選手のMLB進出はなぜ続くのか? 実力以上に「人気」や「知名度」が報酬に響くスポーツの市場構造

「夢」「挑戦」 美談調で語られるアスリートの海外進出

ナ・リーグで優勝し 試合後の会見に登壇した大谷翔平(写真:産経新聞社)

大谷翔平、山本由伸らが所属するメジャーリーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャースが2年連続でワールドシリーズに進出、日本プロ野球(NPB)も福岡ソフトバンクホークスが5年ぶりの日本一を決めるなど、今年のプロ野球シーズンも終盤を迎えている。 近年、大谷翔平をはじめ日本出身選手のMLB進出が加速しており、今後も日本プロ野球(NPB)からは東京ヤクルトスワローズの村上宗隆、阪神タイガースの佐藤輝明、埼玉西武ライオンズの今井達也など、各チームの看板選手がメジャー移籍を目指していることが報道されている。 この現象は日本のメディア上では「夢」や「挑戦」という美談調で語られがちだが、アスリートからしてみれば契約金も年俸も高いからという部分も非常に大きい。そこで今回は「日本選手の海外進出」について、主に「カネ」の視点から考えてみたい。 大谷翔平の日本時代の最高年俸は2億7千万円だが、現在、MLBでの年間ベースの年俸は100億円程度である。なお総額では10年7億ドル=現在のレートで約1000億円規模の契約だが、大谷が実際に受け取るのは年3億円ほどで、残りは引退後に支払われる“後払い契約”だと報じられている。 一般的な日本の正社員が定年まで働いて得る生涯賃金は2〜3億円程度である。一般的に、税金や社会保障を考慮すれば、実働期間中に数億円を得るだけでも社会的には“成功者”とされる水準だろう。ところが大谷は1年で、サラリーマンが40年かけて得る金額を稼ぎ出す(それも、本来1年でもらえるはずの金額の30分の1というディスカウント価格で)。 スポーツ好きであれば「大谷の年俸100億、すごい!」と、純粋に受け止めてしまいがちだが、中には「本当にそんなに必要なの?」と疑問に思ってしまう人もいるのではないだろうか。
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大谷の年俸はなぜ跳ね上がるのか?
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編集者・ライター。1986年、神奈川県生まれ。一橋大学社会学部社会学科卒、同大学院社会学研究科修士課程中退。批評誌「PLANETS」編集部、株式会社LIG広報を経て独立。2025年3月に初の著書となる『文化系のための野球入門 「野球部はクソ」を解剖する』(光文社新書)を刊行。現在は「Tarzan」などで身体・文化に関する取材を行いつつ、企業PRにも携わる。クラブチームExodus Baseball Club代表。
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