「“障害者だから”評価されるのは悔しい」小田凱人が語る、パラスポーツへの“持ち上げられすぎ”な違和感
―[インタビュー連載『エッジな人々』]―
冬季パラリンピックを終えた今、パラスポーツへの視線は確実に変わりつつある。その中心にいるのが小田凱人だ。戦績はもちろん、端正な顔立ちや派手なパフォーマンスでも観る者を圧倒する。「障害者」の固定観念を打ち壊す男の障害観とは――

乙武洋匡×小田凱人
“障害者だからスゴい”は違う
――今の答えが聞けたので、今日一番聞きたかった質問をしたい。日本で障害者のアスリートはいまだ「格下」扱いだと思いますか?
小田:どちらかというと「持ち上げられすぎている」感覚です。アスリートは、勝負の世界で生きている人間です。仮に自分が社会から評価されているとして、その理由が「障害者だから」だとしたら、率直に悔しいです。
――その気持ちはよくわかる。僕は50年生きてきて「頑張ってください」と声をかけられることが300万回くらいあった。同じように小田さんに送られる「頑張って」は「障害者だから」なのか「アスリートだから」なのかが判別しづらいですね。
小田:最初の頃は「障害者」としての「頑張って」が多かったと思います。それでも最近では、純粋にアスリートとして見てもらえるようになってきました。
――車いすテニスを社会に広げていく方法は、いろいろあります。例えば’26年現在、車いすテニスの世界大会は障害がないと参加できないですよね。それを「車いすに乗る」という条件つきで健常者も参加できるようにすべきだという議論があったとして、小田さんは賛成ですか?
小田:スポーツを誰もができるものにしたいという気持ちは、もちろん持っています。でも、全面賛成の立場ではないです。
――というのは?
小田:誰でも大会に出られるようになると、今度はパラアスリートの希少性がなくなってしまうからです。パラリンピックをはじめ、世界大会に出場するのは、やはり「選ばれた人」だけであってほしいですね。
編集者・ライター。1986年、神奈川県生まれ。一橋大学社会学部社会学科卒、同大学院社会学研究科修士課程中退。批評誌「PLANETS」編集部、株式会社LIG広報を経て独立。2025年3月に初の著書となる『文化系のための野球入門 「野球部はクソ」を解剖する』(光文社新書)を刊行。現在は「Tarzan」などで身体・文化に関する取材を行いつつ、企業PRにも携わる。クラブチームExodus Baseball Club代表。
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