【江本孟紀】「謙虚さが見えてこない」巨人・甲斐に苦言を呈したい。「やめたほうがいい」と思うふるまいが見受けられる
巨人の試合を解説席から見ていて気になっていたことがある。5回終了時になると、甲斐拓也はプロテクターとレガースを身にまとってブルペンへ足を運ぶのだ。
現役の、しかも試合に出場するレギュラー捕手が、わざわざブルペンで投手の状態を確認するなんて、見たことも聞いたこともない。ブルペンは投手コーチやバッテリーコーチに任せておいて、目の前の試合状況を冷静に把握するほうが大事なことだ。試合終盤に投げる投手とは、マウンドに上がるときにコンタクトをとればいい。
※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。
私は「中継ぎ投手の状態をいち早く把握したい」とばかりに、甲斐がブルペンに向かう姿を見るたびに違和感をおぼえていた。投手側からすると「どうしてこんな場面で来るんだろう?」と疑心暗鬼になりそうだ。
甲斐はFA権を行使して巨人に入団した。大物扱いするべき選手なのかもしれないが、彼のこうした振る舞いを見るにつけ、謙虚さがまったく見えてこない。
私自身、2回移籍した経験があるからこそわかる。移籍後のチームでは、生え抜きのように振る舞いにくい。「遠慮するな」と言われても、どこか控えめでいるもので、生え抜きの選手とは、試合を重ねるごとに少しずつ信頼関係を築いていくものだ。
だが、いきなり甲斐のような態度をとってしまうと、「なんなんだ。あの人は……」と反発されかねない。しかも、自分よりも年齢が下の投手たちに対する振る舞いは、より一層注意を払うべきでもある。当の甲斐自身には、そんなつもりはないだろうが、周囲から煙たがれるような行動は慎むべきだと感じる。
もう1つは、「ピンチを抑えたときのガッツポーズ」だ。私は、「今すぐあらためたほうがいい」と思っている。
まずガッツポーズについてだが、甲斐からすれば「鼓舞するためにやっている」だけなのかもしれない。だが、感情に任せて喜びを爆発させるという行為が、相手チームからどう見られているのかという意識に欠けている。
故障でリタイアするまでの試合で、甲斐の捕手別被打率は2割9分9厘。ライバルとなる岸田が2割台前半にとどまっていたことからも、甲斐に問題があると推測できる。
つまり、「あの野郎、ガッツポーズなんかしやがって」というように、感情を逆なでしてしまうことも十分にあり得る、それにより、相手を本気にさせて本来の実力以上の力を引き出させてしまう―なんて事態を引き起こしていたら、笑うに笑えない。 巨人の首脳陣は、FAでやってきた甲斐を、お客さん扱いしているのかもしれない。しかし、このままでいいとは思えない。
「ピンチの場面で抑えたからって、派手なガッツポーズなんかするな」
このように注意するべきではないだろうか。派手なリアクションは優勝が決まった瞬間だけでいい。捕手は平静を保ってこそ、威厳と風格が生まれてくるものだ。

試合後にファンとハイタッチをする甲斐
試合中にブルペンに足を運ぶ甲斐に苦言を呈したい
捕手のガッツポーズがもたらすもの
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1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、71年東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。その年、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)移籍、76年阪神タイガースに移籍し、81年現役引退。プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター選出5回、ボーク日本記録。92年参議院議員初当選。2001年1月参議院初代内閣委員長就任。2期12年務め、04年参議院議員離職。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。2017年秋の叙勲で旭日中綬章受章。アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズ副コミッショナー・総監督、クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ総監督、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選出場など球界の底辺拡大・発展に努めてきた。ベストセラーとなった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(ベストセラーズ)、『阪神タイガースぶっちゃけ話』(清談社Publico)をはじめ著書は80冊を超える。
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