人間関係も財政も破綻するセックス依存症患者の末路
―[世にも恐ろしい奇病の話]―
人間関係も財政も破綻するセックス依存症患者の末路
「普通の人なら後のリスクを考えて自制しますよね。ですが、依存症の人はリスクマネジメントができない。その結果、さまざまな弊害が生活するうえで起きるのです」
と語るのは、新大塚榎本クリニックでカウンセリングに携わる斉藤章佳氏だ。行動の結果がどうなるかわかっていても、やってしまう点で依存症は完全に病気だと斉藤氏は指摘する。
「最近深刻なのは性(セックス)依存症です。強姦や小児性愛や痴漢など接触型の性犯罪事件を起こせば本人と家族は厳しい社会的制裁を受けますし、何より被害者の傷は一生消えません」
性犯罪は大問題だが、純粋にセックスに依存することでも弊害があるのだろうか。
「まず、恋人などであってもセックスを無理強いすれば、精神的負担や肉体的負担をかけることになります。また、自分の周囲の女性に対して手当たりしだいに手を出し、人間関係をすべて破壊してしまうことも問題です。だからといって風俗などへ通い続ければ、経済的な破綻を招くこともあります」
パートナーだからといって、性交渉を強要することは性暴力に値するため愛想を尽かされてしまう。しかし、非接触型だからといって病気ではないというわけではない。
「靴や下着窃盗などのフェティシズムや非接触型なら病気が軽いわけではありません。彼らは誰にも迷惑をかけてないと思っていますが、盗撮・覗きや露出にも迷惑をかけた被害者はいます。こうした場合の治療も、被害者の痛みを知るところから始まります」
人間の性は、フェティシズムを筆頭に細分化が進んでいくだろう。性的嗜好の分野では、今後も常軌を逸した新手の”奇病”が現れるのかもしれない。
【斉藤章佳氏】
精神保健福祉士・社会福祉士。
日本「性とこころ」関連問題学会理事。
新大塚榎本クリニックを拠点に、アルコールやギャンブル、
ドラッグ、セックスなどさまざまな依存症問題に携わる
イラスト/石井匡人
― 世にも恐ろしい奇病の話【5】 ―
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