満員電車で顔に「フッ…フッ…」逃げ場のない吐息に襲われ続けた不快な通勤時間
移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、通勤電車の中で抱いた違和感が、思いのほか記憶に残り続けているという2人のエピソードを紹介する。

田中悠斗さん(仮名・20代)が今も忘れられない出来事に遭遇したのは、数年前の会社帰りだった。JR山手線の5両目に乗っていた。
「乗っていた時間は15分くらいで、いつも通り立っていました」
吊り革につかまり、イヤホンで芸人のラジオを聴きながらスマートフォンを操作していた。そして、“思わず噴き出してしまう場面”があったという。
「我慢ができなくて、つい声を出してしまったんです」
すると、田中さんの前に座っていた大学生くらいの男性から声をかけられた。
「おい!」
最初は“自分”だと分からなかったそうだ。
二度目の呼びかけで気づき、イヤホンを外して話を聞いた。男性は、田中さんの笑い方が“自分をバカにしている”ように感じたという。
「フッっていう笑い方が、自分に向けられたと思ったみたいでした」
「ラジオがおもしろくて笑っただけだ」と説明したのだが、相手は納得しなかったようだ。結局、最寄り駅の二つ手間で一緒に下車することになった。
「正直、なんでここまで……と思いました」
駅のホームのベンチに座り、改めて説明した。“笑った”のは相手に向けたものではないことを、繰り返し伝えた。
「5回以上は同じ説明をしたと思います」
電車を降りて風に当たったことで、相手も少し落ち着いた様子だった。やがて、「もういいよ」と言われ、田中さんは頭を軽くはたかれたそうだ。
「ムカつきましたけど、表に出すのはやめました」
田中さんは礼を言い、再び電車に乗った。相手の男性は、その駅が目的地だったようで、改札へ向かったようだ。
「電車を降りてから30分は、ずっと謝っていた気がします。本当に“最低な一日”でした」
その日以来、田中さんは電車でラジオを聴くことはやめたという。
“笑った理由”が伝わらない…

※写真はイメージです。以下同
電車を降りて5回以上説明を繰り返した
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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