「LUUP」に3年間乗り続ける30代記者が車と衝突。「救急搬送される重傷でも、返却はセルフ」の衝撃
街中ですっかりおなじみとなった電動キックボードだが、普及とともに事故も相次いでいる。
2026年6月には、東京都北区の交差点でLUUPを利用していた62歳男性が軽貨物車と衝突し、死亡。2023年7月に電動キックボードなどが「特定小型原動機付自転車」として位置づけられて以降、東京都内の車道では初の死亡事故となった。
危険性のひとつが、自動車と同じ車道を走る点だ。特定小型原付は原則、車道の左側を最高時速20kmで走行する。そのすぐ横を、より速い自動車やトラックが走る。しかも車体は小さく、乗員を守る構造もない。
警察庁によると、事故に占める四輪車との衝突の割合は、2023年7~12月の28.2%から2025年1~11月には43.1%に上昇。特に交差点では、直進するキックボードと右左折する自動車の進路が交錯し、重大事故につながる危険がある。

とはいえ、実際に乗ってみるとかなり便利だ。一度その便利さを知ってしまうと、危険性は分かっていても、つい乗ってしまう。
例えば電車で人身事故が発生し、「ひとつ先の駅からなら動いている」という場合。振替輸送のバスはなかなか来ないし、タクシー乗り場には長蛇の列ができる。そんなとき、LUUPなら一駅程度の距離を5分ほどで移動できる。
駅から数十分離れた場所にも気軽に行ける。取引先でも、少し気になっていた店でも、「駅から遠いから」という理由で諦めることが減った。
かくいう筆者も、3年前からLUUPのヘビーユーザーだ。いわゆる「陸の孤島」とも呼ばれる三鷹市、世田谷区、杉並区の境目あたりに住んでいるため、どの駅に行くにも歩けば20分以上かかる。それがLUUPなら10分もかからない。
もともとは自転車で駅まで向かっていた。しかし坂道が多く、行きはともかく、疲れ切った帰り道は億劫になる。あと、太っているせいなのか、やたらとタイヤがパンクする。
そんなとき、住んでいるマンションの駐車場にLUUPのポートができた。散々「危険だ」というニュースを見ていたので、当初は乗る気にならなかった。
ところが、ある真夏の日。パンクした自転車で駅まで行けば確実に汗だくになり、電車に乗る頃には疲れ切っていることが目に見えていた。そこで初めて、キックボード型のLUUPに乗った。
電動アシスト自転車型のLUUPには何度か乗ったことがあったが、キックボードは初めてだった。走り出してまず驚いたのが、想像以上のスピード感だ。怖くなって何度もブレーキをかけているうちに、そのまま転倒。半袖だったため、腕に野球部員のような擦り傷を作って出社することになった。
それでも帰り道、もう一度チャレンジした。夜も更けて少し涼しくなり、昼間より車も歩行者も少なかった。恐る恐る走り出し、少しずつ慣れてくると、今度は颯爽と景色が流れていく感覚が気持ちよかった。
そして、なぜか懐かしかった。思い返せば子どもの頃、「JD RAZOR」という二輪のキックスクーターが大流行した。周りの友達はみんなJD RAZORに乗っていて、持っていない私は走って彼らに追いつくしかなかった。
親に「あれ欲しい」とねだったところ、母親から「危ないんだからやめときなさい」と、なぜか縄跳びを渡された。これで我慢しろということらしい。
子どもながらに「何かおかしいのでは?」と思いながら縄跳びの練習をしていると、帰宅した父親が新品のJD RAZORを買ってくれた。
それからは住宅街をJD RAZORでビュンビュン走り回った。ジャンプも覚え、周りの友達が自転車で移動するようになっても、頑なにキックボードに乗り続けた。LUUPに初めて乗ったとき、そんな子どもの頃の感覚を思い出したのだ。
以来、近場の移動は自転車ではなくLUUPが中心になった。10分ほど利用して200円程度。駐輪場だけでも150円ほどかかることを考えれば多少高くはつくが、快適さは段違いだ。やがて月額980円で利用料金が割引されるサブスク会員になり、ほぼ毎日のように使うようになった。
主に走るのは渋谷や新宿のような繁華街ではなく、住宅街だ。交通量も歩行者も比較的少ない。もともとバスに乗ると乗り物酔いをしやすいこともあり、「歩くには遠いが、電車やバスに乗るほどでもない」という微妙な距離ではLUUPがちょうどよかった。

画像はイメージです(Tsubasa Mfg – stock.adobe.com)
バスよりタクシーより、便利なLUUP
キックスクーターが一世を風靡した思い出
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
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