「お芝居がうまくいかなくて…」矢吹奈子(25)が女優転身を決意した“同世代に圧倒された日”
あるとき共演者から「感受性が豊かだね」と言われて驚き、それが自分の感情と向き合うきっかけになったと振り返る矢吹奈子(25歳)。HKT48および日韓合同グループIZ*ONEのメンバーとしての活躍を経て、今は軸足を女優業に移してまい進している。

この1年余り、ミュージカル、トリプル主演ドラマ、現在公開中の韓国発アニメ映画『縁の手紙』の声優など、“初挑戦”が続く矢吹が、進行形の“変化”を語った。
——アイドルから女優へと順調にキャリアを築かれている印象ですが、お芝居をされていて、心が折れそうになったり、「このままでいいのかな」と迷ったりした時期はありますか?
矢吹:いっぱいありますよ。まだグループ卒業前でしたが、神尾楓珠さんが先生を演じられた学園ものの『顔だけ先生』(2021)で、初めて連続ドラマにレギュラー出演しました(グループ関連以外)。同世代の子たちに「こんなにお芝居が上手なんだ」「こんな表現の仕方があるんだ」と驚かされて。その中で自分のお芝居がうまくいかなくて、すごく悔しい思いをした記憶があります。
でも、その悔しさが逆に「乗り越えたい」という気持ちにつながりました。厳しい世界だとわかってはいましたが、グループを離れて、ひとりでお芝居に集中してやっていきたいという気持ちが強くなりました。

——去年は『ブラック・ジャック』のピノコ役でミュージカルに初挑戦されました。勝手が違うところもありましたか?
矢吹:全然違いました。そのあとにも続けてミュージカルをやったのですが(『サムシング・ロッテン!』)、稽古の仕方も演出家さんによって全く違うんだなということも感じました。ピノコの場合はキャラクターも濃くて、歌も音程を外しながら歌う場面がありました。でもわざと外した楽譜があるわけじゃなくて、毎回ずらして歌うんです。感情に任せて。あるときの本番で、感情がごちゃごちゃになりすぎて、一曲まるまる一音も当てに行けなかったときがあって。
終わったあとに「一音も合ってなかったんですけど……」と共演者の方にお話ししたら、「それがさっきのピノコだったんだよ。舞台上で生きられているから大丈夫」と言ってくださって。そのときにしか出なかったピノコだったなと感じて、舞台にはこういう面白さがあるんだと知りました。
——映像作品では、今年の4月期にトリプル主演に挑まれたドラマ『サレタ側の復讐〜同盟を結んだ妻たち〜』も話題を集めましたね。
矢吹:お芝居に集中したいと思っていましたが、実際にグループを離れてひとりでお芝居をするようになってからは、本当に悩んでいたんです。楽しいという感覚より、「合っているのかな」とか、出来上がった映像を見ると「思っていたのと違ったな」ということばかりでした。
『サレタ側の復讐』では、一緒に主演を務めた水崎綾女さん、篠田麻里子さんとお芝居の話をする機会がすごく多くあったんです。カメラの外でも話せたことで、より支えられていると感じられたからか、台本にない感情があふれ出る瞬間がたくさんあって。「これがお芝居の楽しさなのかな。お芝居するってことなのかな」と実感することができました。

矢吹奈子(25)
撮影/望月ふみ
悔しさが「乗り越えたい」に変わった原点
「一音も合ってなかった」本番で知った舞台の面白さ

カメラの外でも話せたことで芝居の楽しさを実感
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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アニメ映画『縁の手紙』は全国公開中
公式サイト https://en-no-tegami.com/
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