上司をタコ殴りにしてクビに!会社という足枷が外れた女のとった行動とは!?
―[友人がサイコ化!そのとき私は…]―
サイコな人々――それは、普通の社会生活に紛れて暮らしながらも常軌を逸した狂気を宿している人たち。同僚が、取引先が、大学の同期が……。ある日ふとしたキッカケでサイコな人へと豹変したとき、我々はどう対処すればよいのか。実際に小誌に寄せられた、恐るべき被害報告をもとに、ヘルドクターくられ氏とともに考える
【CASE1】
上司をタコ殴りにしてクビに! その後ツイッターで暴言魔に変身
証言者:馬場智徳さん(仮名)27歳・出版社
「仕事はそつなくこなすタイプ」。サイコな元同僚のI江(27歳・♀)を馬場さんはそう評価する。しかし、下着が透けていることを注意すると「犯される!」と叫び、バレンタインデーのお返しに上司がワインをプレゼントすると「そんなつもりはない!」と周囲に言いふらす、かなりの厄介者。入社当初からの”真性困ったちゃん”だったが、まだギリギリ許される範囲ではあった。
しかし、事件はまさに現場ではなく会議室で起こったのである。
「ある日の企画会議に提出された彼女の企画書の最後の1枚が、『上司のHさんに対して思う10のこと』という抗議文でした。『言うことをコロコロ変えるのはいかがなものか』などと、上から目線で上司を批判。普段から言いたいことはすぐに口にする人でしたが、それでも不満を溜めていたようです。場がシーンと静まり返ったそのとき、ガチャン!とパイプ椅子の倒れる音が。顔をあげると、I江が上司に飛びかかっていたんです。『これで辞めても本望!』などと言い、後ろから頭頂部をタコ殴りに。上司も驚きのあまり、されるがままになっていました」
そしてI江は望み通り、ほどなくクビに。しかし会社という足枷が外れ、さらに暴走機関車と化す。
「辞める直前に、自分が唯一社内で仲がいいと思っていた同じ趣味を持つサブカル志向のNさんが、たいして自分のことを好きではなかったことに気づいた。それで彼女のなかで何かが切れてしまったんでしょうか……。2人で飲んでいた際にNさんがこぼした上司のグチの内容を、別の出版社の人にメールで暴露。さらに、『Nは友達(フレンド)のフリをした敵(エネミー)、今話題の”フレネミー”である』と指摘し、『これをおたくの雑誌の企画にしてくれないか』と売り込みをしてきたんだそうです。そのメールをもらった人が、Nさんを心配し、この事実を私たちに教えてくれたことで事なきを得たんですが、会社を辞めてからも迷惑をかけまくるI江に、心底うんざりしてしまいました」
しかし、それで怒りが収まるはずのない彼女は今、ツイッターでもNさんの悪態をつきまくっているという。
「いまだに、『身なりはちゃんとしててもブスに見える人はデブなのか?』とか、『サブカル人間でも、性格の悪い人と良い人の違いは、ルックスの差が大きい』といった意味不明な論理で、明らかにぽっちゃり型のNさんを攻撃している。見ていられませんよ」
どう考えても、”フレネミー”はI江自身。そこに無自覚でいることに、底知れぬ狂気を感じる……。
【対処法】
自意識の強いサイコさんは自分が物語の主役を生きているつもり。その物語の登場人物として巻き込まれた場合は、主役(サイコさん)の目的を理解し、どうやって舞台から退場できるか考えましょう
【監修者 ヘルドクターくられ氏】
マッドサイエンス集団「薬理凶室」主宰。大きな口では語られない科学の裏分野に造詣が深い。13万部を突破した「アリエナイ理科ノ教科書」シリーズの続編を『ラジオライフ』で連載
イラスト/テラムラリョウ
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