就寝後に尿意を感じる人は、心臓が悪い可能性
―[30代[死に至る病]の微妙な兆候]―
仕事もプライベートも何かと忙しい30代。しかし、「忙いから」と健康を疎かにしていると、気がついたときには「すでに時遅し」となりかねない病気にかかってしまうことも。日常生活で見過ごしがちな“体の異変”を察知できるかが大事になるのだ。各分野の専門医の警告と、体が発する“サイン”に耳を傾けるべし!
◆運動がキツい、就寝後、尿意を感じる、風呂に入ると疲れる、午後、極端に効率が悪化 ⇒ 慢性心不全の可能性
階段を上ったり走るのがツラくなった……。加齢とともに体力は落ちるが、それを「単なる衰えだろう」と考えるのは危険だ。
「息切れや動悸、急な力衰え体は慢性心不全が原因かもしれません」
と語るのはタワーズ内科クリニック院長西村医師。心不全は心臓の機能が低下し、全身に血液や酸素を十分に送れず血流が滞ってしうために起こる症候群だ
「慢性心不全だと心臓のポンプ機能が弱まっているので、とにかく疲れやすくなります。風呂から上がっただけでグッタリ疲れたり、午前中は軽快だが、午後になると仕事の効率が異常に落ちたりも。また『前より階段を上るのが苦しくなった』『隣を歩く同僚より、自分のほうが遅くてツラい』と感じるようだと、慢性心不全の可能性があります」(タワーズ内科クリニック院長西村医師)
ほかにも危険な症状として挙げられるのが、就寝後の尿意。
「夜、寝てから1~2時間後に尿意を感じるのは、心臓の調子が悪く、腎臓まで血が行き渡っていない証拠。正常な人なら、日中に全身に安定して血液が供給されるので腎臓も十分に機能し、排尿も通常どおり。しかし慢性心不全の人は日中、腎臓まで十分に血が行き渡らず、尿が作れないのです」(同)
ところが夜寝ると、腎臓にも血液が行き、ようやく尿の生成を再開する。そのため、尿の回数が一日1~3回で、夜眠った後にトイレで起きてしまう人は、慢性心不全に陥っているかもしれない。
「真横になって寝ると苦しく、体を少し起こすとラクという人も、心臓のポンプ機能が弱まっていることが考えられます。これも慢性心不全の兆候の一つです」(同)
「体力が衰えただけ」と思っていたら慢性心不全だった、なんてことにならないよう気をつけたい。
【西村 徹】
タワーズ内科クリニック院長。医師杏林大学医学部卒業。日本内科学会認定総合内科専門医。専門は内科、循環器内科、神経内科、アレルギー科など。日本内科学会、日本循環器学会、日本心臓病学会に所属する
イラスト/オーグロ慎太郎
― 30代[死に至る病]の微妙な兆候【6】 ―
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