更新日:2012年08月04日 09:04
ライフ

東京スカイツリーに抜かれた広州タワーは「世界最怖遊園地」だった…

広州タワー 今年5月に東京スカイツリーが開業し、「世界一高い電波塔」の座を奪われた中国・広東省にある広州タワー。ところが、地元民はいまだ「世界一のタワー」と胸を張っているというのだ。まだ悪あがきしているのか?……その理由を探るべく、ドラゴンガジェット編集部は、全高600mの高さを誇る電波塔に登ってみた。  最寄り駅に降り立ち、タワー1階にあるチケットブースに到着して驚いたのが、入場料が物価水準と比べて高いことだ。地上約450mの場所にある展望台「ZONE E」への入場料が150元(約1900円)にもなるのだ。広州市内ならば、4人が腹いっぱい飲茶を食べられる金額だ。しかし、筆者が購入したのはさらに高額な、「ZONE E」と展望台屋上を水平に一周する観覧車の料金がセットになったチケット230元(約2900円)だ。  広州タワーの特徴は、最上部にこの観覧車と、垂直に降下する絶叫マシーン・フリーフォールが設置されていること。電波塔としては世界第2位となってしまったが、おそらく世界一高い場所にある遊園地なのだ。 ⇒ゴンドラ乗車券【画像】 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=261498
広州タワー

ゴンドラ乗車券がついて約2900円。かなりの高価格だ

 代金を支払うと、チケットを渡され、さらにその裏にサインするように言われた。よく見るとそれは、「万が一、事故があっても損害賠償を請求しません」といった内容の宣誓書になっているではないか……。タワーに登るのは自己責任というわけだ。  ⇒誓約書【画像】 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=261502
広州タワー

日本のタワーではありえない”誓約書”。死んでも自己責任なのです

 外を見渡せるガラス張りのエレベーターで展望台へと上がる。眼下に広がる広州中心部のビル群が、どんどん小さくなっていく。日本にもよくあるシースルーエレベーターだが、ここは中国。これまで起きた、ずさんな建設や管理を原因とするさまざまな事故を思い出せば、それだけでなかなかスリルある乗り物だった。 「ZONE E」へはわずか1分あまりで到着。しかし平日だったせいか、客は少ない。そんなまばらな客に対し、スタッフは記念写真の撮影サービスを売り込んでいた。タワーの周りに浮かんでいるように写るチャチな合成写真のようで、見本のポスターがジワジワと腹立たしい。  肝心の景色に関しては、天候のせいか中国名物の大気汚染のせいなのか、かすみがかっており、絶景というには程遠い。そこで筆者はそそくさと観覧車のある屋上に向かった。そこには、屋上のへりに沿うように設置されたレールの上を、ガラス張りの球体の乗り物が回っていた。 ⇒球体の乗り物【画像】 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=261503
広州タワー

地上450mにむき出しのゴンドラが。見ているだけで恐ろしくなる

 乗り場に近づいてみると、プラットフォームと観覧車の間に隙間が開いており、そこから450m下の大地が見える。  スタッフの誘導で、その隙間をまたぎ、球体の中へと乗り込むと、外側からガチャリと扉が閉められた。  観覧車が進むスピードは時速2kmほど。しかし、時折、風に煽られたのか、レール自体が歪んでいるのか、ギコギコと妙な音がするのが気になる。開業からわずか2年しかたっていないにもかかわらず、よく見るとレールはすでに錆びているではないか。ギコギコ音は、車輪とレールの摩擦音なのだろう。そしてレールの下に広がるのは450m下の大地。「脱線」の二文字が頭に浮かぶ。丸い球体のゴンドラも、視覚的に「ポロッ」と下に落ちそうな錯覚に陥る。突風が吹き、観覧車が時折ゆられながら、身の縮こまる思いで、猛暑なのに冷や汗が滲む。 ⇒恐怖の眺め【画像】 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=261504
広州タワー

霧や大気汚染で絶景とは言えない眺め。恐怖感だけが残る

 ギコギコ音と突風におびえながらすごすこと約10分。観覧車は一周し、筆者はようやく恐怖から開放されたのだった。先進国で同じ乗り物に乗ってもさして怖くはないだろうが、ここは中国だということを考えると、やはり手に汗を握らずに入られなかった。  屋上で、もうひとつの乗り物、フリーフォールも目にしたが、まったく乗る気になれなかった。 ⇒フリーフォール【画像】 https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=261500
広州タワー

こちらはフリーフォール。利用者はおらず、不人気だった

 かくして広州タワーは、スカイツリーには決して真似のできない、中国ならではの恐怖スポットとして君臨しているのだった。華南地方は夏から秋にかけて台風シーズンとなる。このゴンドラが吹き飛ばされるような大惨事にならないことを祈るばかりである。 広州タワー【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】 ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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