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野獣・武井壮で注目!「King of Sports」十種競技とは?

十種競技

武井壮さんに熱血指導も受けたという、右代啓祐選手。今後の飛躍が期待される

 陸上競技には『King of Sports』と称される競技がある。

 あらゆるスポーツの“King”を決めるその競技は、2日間で十種目の競技を行い、その記録を得点に換算し、合計得点で競う種目で「十種競技(デカスロン)」と言う。競技順に種目を並べると、初日は100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、最後に400m走。2日目は110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、そして1500m走で終わる。

 走る、跳ぶ、投げる。オールラウンドな身体能力が求められる故、体格に恵まれた欧米選手が強い。『King of Sports』なだけに、特に欧州では非常に人気のある種目でもある。

 日本ではまだ認知度が低い競技ではあるが、最近ではフジテレビ「笑っていいとも!」や週刊SPA!8/28号「エッジな人々」にも登場して話題急上昇中のアスリートタレント・武井壮さんが、以前この種目で日本チャンピオンだったことで認知されはじめている。だが、まだ多くの場合は

「馬に乗ったり、射撃するんだっけ~?(それは近代五種)」

「泳いだり、自転車漕いだり大変だよね!(それはトライアスロン)」

 と誤解されていることも少なくない。

 またロンドン五輪の選考会を兼ねた今年の日本陸上競技選手権は、6月に大阪・長居で行われたのだが、十種競技は競技進行に時間がかかり運営上支障があるとして、別日程でひっそりと長野で開催されていた。認知度の低さに加え、国内陸上界においても、悲しいかなそのポジションは低いのである。

◆日本では認知度が低すぎるうえ「悲劇」も

 しかも、裏開催の長野でも、とんでもない珍事が起きていた。競技が長引き、最終種目が行われる頃にはすっかり日も暮れてしまう予定外の事態となり、ナイター設備のない地方の競技場だったために、関係者が競技場内に車を乗り入れ、ヘッドライトを照らして競技を完了させたという、涙ぐましいエピソードがあるのだ。

 そんな十種競技ではあるが、ロンドン五輪を機に日の目に当たる機会が訪れた。過去、五輪出場の壁にことごとく跳ね返され続けていた日本人だが、身長196cm、今回の日本選手団の中で2番目に背の高いイカツイ体格の右代啓祐(うしろけいすけ/スズキ浜松AC)がぶち破ったのである。

 日本人が十種競技で五輪に出場したのは、1964年の五輪以来48年ぶり、なんと半世紀ぶりの快挙であった。ちなみに48年前、東京五輪 に出場した鈴木章介さんは、五輪出場の翌年から、巨人軍でプロ野球史上初となるトレーニングコーチを15年間務め、巨人V9を陰で支えた人物である。

 五輪出場選手30人の中でも、旧ソ連系の国を除くと右代は唯一のアジア選手。パワー・スピードに優れた黒人・白人選手に囲まれた右代のオリンピック挑戦は厳しい戦いになった。競技スケジュールもタフを極め、初日が朝10時10分スタートで21時30分終了。翌日も9時からはじまって21時20分まで続く、過酷なスケジュールの元で行われた。関係者の話によると、右代の2日目の起床は朝5時だったようなので、5~6時間程度の睡眠時間で10種目の競技をオリンピックの舞台で戦い抜いたことになる。

 厳しい状況ではあったものの、五輪初出場の 右代は奮闘した。特に2日目の円盤投とやり投では、出場選手中それぞれ6番目と4番目の好記録。日本人が苦手とされてきた投てき種目では、世界と互角に戦えるポテンシャルを示した。最終成績は7,842点の20位と、日本記録である自己記録の8,073点に及ばず、目標の8位入賞にも手が届かなかったが、随所に見せ場を作り、日本の十種競技界にとっては大きな足跡を残すことができた。

 世界的には、十種競技のトップ選手は20代後半~30歳くらいでピークを迎える。現在26歳の右代にとって、次のリオ五輪あたりは選手として絶頂期を迎える頃かもしれない。日本選手が、「スポーツ界の王者」になる日を夢見て、今から“右代啓祐”と“十種競技”をしっかりと頭に刻んでおこう。

<取材・文/NANO編集部・熊田大樹
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当。




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