「元本保全、月0.54%の配当」でも騙される可能性あり
「投資詐欺に引っかかるのは老後に不安を抱えた金融リテラシーの低い高齢者だけ」と思うのは早計だ。ネットマーケティングやSEOを駆使したニュータイプのネット型投資詐欺の被害者は、年々低年齢化しているのだ。その誘惑の手口とダマされる心理について迫ってみる。
◆被害者が語る「投資詐欺の手口」
6年前、投資会社ベストパートナーの商品取引ファンドに300万円を出資した東京都北区の専業主婦、渡瀬由美さん(仮名・53歳)。「元本保全、月0.54%の配当」という文言に魅力を感じたことは事実だが、当初は半信半疑だった。
「最初の半年間は契約書どおりに配当金が振り込まれました。営業マンが『投資してる殻物関連が好調です。三菱東京さんや丸紅さんとの資本提携も実現間近。向こう3年間は運用資金の保全をお約束できるので、とりあえず追加してから1、2年様子を見て解約されても結構です』と出資を勧めるので、700万円追加しました」
半年後、同じように配当(約33万円)が振り込まれて信じ込んだ彼女は預貯金のほぼ全額である1000万円をさらに追加出資した。
「当時は『年に150万円も利息がもらえるのは、ちゃんと貯金してきた恩恵だわ』って気分が先行してました」
その後、配当金が口座に振り込まれることはなく、解約しようにも電話が繫がらない事態に。そして昨年1月、詐欺容疑で起訴された同社会長の神崎勝は、12年間の実刑判決を受けた。運用の事実はほぼないというお約束の投資詐欺事件であった。大企業との架空の提携話や1年間にわたる配当金の支払いで、高齢者や主婦をダマす手口。そして、比較的実現可能と思わせるような配当利回りの設定が、被害者の目を曇らせる要因となったのかもしれない。
取材・文/高城 泰(ミドルマン)
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